第8話

episode 7
121
2025/10/24 09:09 更新




🐶side



父さんの話というのは
僕が昔いた施設についてだった。




幼少期から「ガイド」としての才能があると見込まれた僕は、

3歳の時、

政府管轄の施設に入った。




詳しいことは分からないけれど、

恐らく能力のある者は皆、その道を辿るようだった。









hjの父
スンミナの力の強さを奴らは欲しがってる
sm
sm
また施設に入るの?
hjの父
いや…それは拒否したんだ
hjの父
スンミナは大事な家族だからね


あの頃の生活はあまり覚えていないけれど、


施設で過ごした2年間は、とにかく

               独りぼっちだった。


sm
sm
っ、…
hjの父
そしたら、
仕事を提案したいと言ってきたんだ
sm
sm
仕事?
hjの父
怪しいと思って聞いたんだが
私には何も教えてくれなくてね
hjの父
スンミナがその仕事とやらの話を聞きたいんなら、一度行ってみるか?
hjの父
もちろん護衛はつける
sm
sm
護衛って……
hjの父
攫われたら困るからね


施設が提案する仕事なんて


「ガイド」の力を使うもの以外あり得ない。


怪しさを孕んでいるけれど、


いつまでもこの家にお世話になってばかりでもいけないと思って、話を聞いてみることにした。




sm
sm
もしかしたら…
sm
sm
…誰かが僕の力を必要としてるのかもしれないから
hjの父
そうか……分かった


父さんは、僕の決断を心配しながらも


気持ちを汲み取ってくれたのか、引き止めることはしないでいてくれた。


hjの父
日にちが決まったら知らせる
sm
sm
うん、
sm
sm
じゃぁ…おやすみなさい









施設に入ってすぐ、

僕が異常な早さでプレゼニングを迎えると同時に、
両親の訃報が届いた。





反政府デモに参加した際、

軍と衝突して



デモ参加者が起こした発砲事件に巻き込まれたそうだ。





僕を手放して、反乱を起こして、
            ───命を落とした。




sm
sm
…戻らないと、なのかなぁ


身寄りのない僕にとって


「養子」という形であの施設から救い出してくれた黄家はかけがえのないものだ。





それでもこの家で成長するうちに


いつか僕は、僕として


一人でも生きていけるようにならなければ…




そんなことを考えるようになっていた。









hj
hj
…早かったね?
hj
hj
話ってなんだったの?
sm
sm
あ…

部屋に帰らずに、


廊下で待っていたヒョンジナが不安そうにたずねてきた。





今日の自分の様子を

詳しく聞かれたんだと思ってるんだろうなぁ……





sm
sm
ん〜
sm
sm
色々だよ〜
hj
hj
…絶対俺のことじゃん

今度は不満そうに口を尖らせる。





彼は昔から自分の力に自信がない。


自信がないというより、

認められないの方が的を得ているかもしれない。


hj
hj
俺だって頑張ってるんだよ〜
hj
hj
スンミナァ
sm
sm
ただ心配なんだよ、父さんは


抱きつく勢いで僕に向かってくるヒョンジナをなんとなくかわしながら、シールドの様子を伺う。


sm
sm
ヒョンジナは…がんばってるよ、十分





…だって、ほら

シールドの修復が見違えるくらい早くなってる。






いつか、常に僕がいなくても、

ヒョンジナ1人で何でもこなすことができるようになったとき、





僕が彼の足を引っ張らないためにも

自分で生きる術を見つけておかないと。







その意味で、
もう一度施設に行くことは避けられないことなんだ


と、腹を括った。


hj
hj
なかなか思うようにいかないよ
hj
hj
今日も、
hj
hj
気づいたら走ってた
sm
sm
それで毎回生きて帰ってるから
逆に天才なんじゃない?
hj
hj
…揶揄ってる


さっきの倍くらい尖らせた口と

僕のことを睨みきれていない優しい目。





僕は、本当に十分だと思うんだ。


sm
sm
ごめんごめんっ
sm
sm
今日は…どうする?
hj
hj
、隣で寝る
hj
hj
………おいで


そう言って手招かれたのは
いつもヒョンジナが寝ているベッド。


その横には、

組み立て式の簡易的なベッドがついていて

何かあった日にはそこで眠ることが多い。




その方がよく眠れるんだそうだ。





sm
sm
このベッドもそろそろ寿命かな
hj
hj
壊れられちゃ困るよ


小さい時から部屋は一緒で

それぞれ自分の空間も持っているけれど、





こんな日は必ず隣で眠りたがる。


変わらない彼の姿に、笑みが溢れそうになるのを必死で堪えて、今夜の寝床に入った。





hj
hj
手…早く治して、
sm
sm
できるだけ努力するよ
hj
hj
うん
hj
hj
……おやすみスンミナ


眠りに入るヒョンジナを見届けて
僕もゆっくりと目を閉じる。

sm
sm
おやすみ


そっと握られた手に感じるのは
何とも安らかなエネルギーだった。








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