第14話

14.
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2023/04/04 12:04 更新
いふside
りうら
じゃーね
仕事頑張ってねーー!
いふ
お前も勉強頑張れよ
いつも通り、りうらと別れる

はやく大学に行って研究したい
このペースでいけば今年中には完成しそうだ
そうすれば
俺の逃亡生活も終われる…!
いふ
ん……?
なんだあの車

背後からゆっくりと近づいてくる
目を凝らしてよく見ると……
いふ
……!!
ヤバい!!


急いで逃げ出す

運転手の顔に、見覚えがあった
忘れたくても忘れられない


俺の、本当の父親だ
いふ
……クソッ!
なんで俺の居場所が分かったんだよ!!
細い裏路地を走りまわる

右、左、また右

4つ目の角を曲がろうとした

が……
初兎の父
はい、捕まえた
いふ
……!!
こいつ、角で待ち伏せしてやがった!
腕を思いっきり捕まれる
逃げようにも逃げ出せない

くそ、馬鹿力め!!
初兎の父
大人しくついてきてもらおうか
口に布を当てられる

変な香りがした


だめだ、これは吸っちゃいけない

そう思いながら、
意識はどんどん遠のいていった――
目の前で、血を流す兄

そばには倒れた自転車
へこんだ車も止まっていた


救急車に乗せられる兄に
必死に呼びかける父さん

「安心しろ
父さんが助けてやるからな」
いふ
(ああ、俺は殺されるんだな)
兄が事故にあったと聞いて
弟だった俺が最初に思ったのは、それだった
小さいころから父さんに言われていた
初兎の父
しょうに何かあったら、
お前が代わりに死ぬんだ
いいな?
兄は『稀血』を持っている可能性があるらしい
それは、俺も同じだ
初兎の父
いいか?
しょうが輸血が必要になったら…
いふ
わかってるよ
俺の血を差し出せばいいんだろ?
父さんとの会話は、
これくらいしか覚えていない



結局、兄は稀血ではなかった
輸血も普通に受けられ、回復も早かった
ただ、
「弟さんは間違いなく稀血です」
とも、医者に言われた
いふ
(父さんは、
俺なんてどうでもいいだろうな)
父からの愛情を受けないとはいえ、
殺されずに済んだ

心からほっとしていた


――だが
初兎の父
おい、大人しくしろ
今日の分がまだだぞ
そう言って注射器を構える父さん
いふ
(これ以上血を抜いたら…死ぬ)
父さんは『稀血』は金になる
という情報を聞いたらしい
兄が回復してから毎日、
俺は血を抜かれていた
いふ
(さすがに、これ以上は…)
限界だった俺は、隙を見て家から逃げ出した

血を抜かれていたせいでフラフラだった
行く当てもない

道端で倒れていたところを
助けてくれたのが、ほとけのぱぱだった
バチッ
いふ
……っ!
頬に鋭い痛みを覚えて目を開ける

狭い、じめじめした部屋だった

動こうとして、
両手両足を縛られていることに気付く
初兎の父
ようやく目を覚ましたか
その声で、
人がいたことに気付いた

二人いる



一人は、俺の実の父親
もう一人は……
いふ
……しょにだ…?
しょう
まろちゃん
良い夢見れた??
にやりと笑う、
俺の知らないしょにだの姿があった

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