私は 前世『悪魔執事の主』だった。
それを思い出したのは、10歳頃のこと。
最初は混乱こそすれ、9年も経てば案外すんなりと
受け入れられていた。
まぁ、最後の方の記憶が曖昧なのもあるのかもしれない。
人類は天使に勝利した……たぶん。
悪魔執事の彼らの今後を保証してもらうため、色々と奔走していた所で。
帰りに事故にあった………気がする。
いや、異世界転生〜とかじゃないから違うか?
誤魔化しながら、金の指輪をくるくるといじる。
チェーンを通して首にかけているそれは、
前世で彼らの世界とこちらを行き来できた、あの指輪に
よく似ている。
私は、幼稚園から大学まで一貫している学園に通っている。
まあ所謂、セレブの学園というものだろうか。
高校にあたる高等部からは全寮制で、
基本は1部屋2人の相部屋なのだが、私は同室の子がいない。
その日の夜。
知らない私が悪いみたいじゃないか。
ただ、興味が湧かないだけだ。
だって……………
そもそもの判断基準がバグってるせいで、
イケメンアイドルとか言われても、全く心が動かされないのだ。
なんか今、すっごく聞き覚えのある単語が………
どういうこと……?
なんで、こんなに皆と……悪魔執事のみんなと、
同じ部分が多いの??
偶然………?いや、にしては揃いすぎてる──
───もしかして。
…………いや、まさかな。
仮に彼らが転生してたとして、アイドルをするとは
思えない。
思えない……が…………
📺♩
ゆっくりと画面が暗くなる。
完全に暗くなる直前、猫の鳴き声がし、金の指輪が浮かび上がる。
それは段々と光始め、やがて強く輝くと─────
眩い光が収まり始め、
赤いカーペットの敷かれた広間が映し出される。
そして中央にある長い階段の先には、
ゴシック調の衣装を着た、1人の男性が立っていた。
ドアップで映し出される、美しく上品な笑顔。
両側が小さな角のように跳ねている、柔らかそうな白髪。
前髪には黒いメッシュが入り、左側に一筋だけ入った
メッシュは、瞳とおなじ薄紅色。
優しくこちらを見つめる彼の表情は……記憶と何一つ変わらない。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!