第2話

アイドルになった執事たち
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2025/06/24 11:00 更新
私は 前世『悪魔執事の主』だった。

それを思い出したのは、10歳頃のこと。






最初は混乱こそすれ、9年も経てば案外すんなりと

受け入れられていた。

まぁ、最後の方の記憶が曖昧なのもあるのかもしれない。







人類は天使に勝利した……たぶん。

悪魔執事の彼らの今後を保証してもらうため、色々と奔走していた所で。


帰りに事故にあった………気がする。



(なまえ)
あなた
私の人生、ガチのファンタジーじゃん…


いや、異世界転生〜とかじゃないから違うか?


MOB
ん?あなたの下の名前、なんか言った?
(なまえ)
あなた
あ、ううん………何も



誤魔化しながら、金の指輪をくるくるといじる。


チェーンを通して首にかけているそれは、

前世で彼らの世界とこちらを行き来できた、あの指輪に

よく似ている。

(なまえ)
あなた
(そういえばこれ、
どこで手に入れたんだっけ……)
MOB
あ、まーたそれいじってる。
やっぱり何か隠してるでしょ
(なまえ)
あなた
え?
MOB
あなたの下の名前は落ち着かないとき、
いつもそれを触ってるもの
(なまえ)
あなた
え、うそ!
MOB
本当よ。で、何隠してるの?……あ、まさか
───ꉂ 好きな人でも出来たの〜?
(なまえ)
あなた
違いますよー♪ほんとに何にもない!
MOB
え〜?……ねーてかさ、今日あなたの下の名前の部屋
行ってもいい?テレビ見さして!
(なまえ)
あなた
自分の部屋にもあるでしょー?
MOB
同室の子と、見たい番組の
時間が被ってるのよ〜


私は、幼稚園から大学まで一貫している学園に通っている。

まあ所謂、セレブの学園というものだろうか。


高校にあたる高等部からは全寮制で、

基本は1部屋2人の相部屋なのだが、私は同室の子がいない。



MOB
おねがいっ!どーーーしてもリアタイで見たいの~~!
(なまえ)
あなた
わかったわかった、いいよ
MOB
マジ神ありがとう!!









その日の夜。



MOB
よし、いよいよ始まるわね!
(なまえ)
あなた
待て待て4人も来るとは聞いてないんだけど!?
MOB
しょうがないじゃん、
リアタイで見たいんだから
(なまえ)
あなた
答えになってないよ!?
MOB
ごめんね、あなたの下の名前。急に押しかけて
(なまえ)
あなた
別に構わないけどさぁ…
MOB
う〜〜、ほんとに楽しみ!!
MOB
そりゃそうよ、グループ初の特番だもん!!
(なまえ)
あなた
ぐるーぷ?
MOB
あの18人を3時間も見られるなんて……!
瞬きの時間が惜しいくらい!!
MOB
2次元から飛びたしてきた級にイケメン
なのよねぇ………
MOB
そうそう……!普段は6つの小グループに別れてることが多いけど……
MOB
今回の特番では、全員が集合するのよね!!
(なまえ)
あなた
へぇー……アイドルか何か?
全員
うそ、知らないの!?
(なまえ)
あなた
ハモらないでよ


知らない私が悪いみたいじゃないか。

MOB
ごめんって。……まぁ確かに、あなたの下の名前は
アイドルとかあんまり見てないもんね
MOB
そうなのね……興味がないの?
(なまえ)
あなた
そういう事では……


ただ、興味が湧かないだけだ。


だって……………


(なまえ)
あなた
(現実離れするほどの美形たちと、一緒に生活してましたからねぇ)


そもそもの判断基準がバグってるせいで、

イケメンアイドルとか言われても、全く心が動かされないのだ。


MOB
で・も!興味を示すことになると思うわ……
なにせ、あの『Devil's palace』だもの!
(なまえ)
あなた
…………ん?



なんか今、すっごく聞き覚えのある単語が………


(なまえ)
あなた
なんて……?
MOB
聞いたことないの!?いま、大ブレイク中なのに……!
(なまえ)
あなた
へ、へぇ〜……?
MOB
ふふ……あなたの下の名前の推し『執事』は、誰になるかしらね!
(なまえ)
あなた
執事??
MOB
えぇ!『Devil's palace』は、執事をコンセプトとしたグループなの!
MOB
みんな素敵で、中々推し担当執事が決められないのよね~!
MOB
それなすぎる!あ、てかみんな、同担・他担拒否ないよね??

(なまえ)
あなた
………………………。



どういうこと……?


なんで、こんなに皆と……悪魔執事のみんなと、

同じ部分が多いの??



偶然………?いや、にしては揃いすぎてる──


───もしかして。




(なまえ)
あなた
(私と同じで、転生してる………?)




…………いや、まさかな。

仮に彼らが転生してたとして、アイドルをするとは

思えない。




思えない……が…………





(なまえ)
あなた
………うん。考えんの、やめよ
MOB
さ、時間よ!!始まるわ………!


📺♩


ゆっくりと画面が暗くなる。

完全に暗くなる直前、猫の鳴き声がし、金の指輪が浮かび上がる。


それは段々と光始め、やがて強く輝くと─────





??
『お目覚めになられたのですね』


(なまえ)
あなた
(あれ、この声…………)


眩い光が収まり始め、

赤いカーペットの敷かれた広間が映し出される。



そして中央にある長い階段の先には、

ゴシック調の衣装を着た、1人の男性が立っていた。






(なまえ)
あなた
(………………うそ。)
??
『あなたをお待ちしておりました』



ドアップで映し出される、美しく上品な笑顔。

両側が小さな角のように跳ねている、柔らかそうな白髪。


前髪には黒いメッシュが入り、左側に一筋だけ入った

メッシュは、瞳とおなじ薄紅ピンク色。



優しくこちらを見つめる彼の表情は……記憶と何一つ変わらない。







ベリアン・クライアン
ベリアン・クライアン
『おかえりなさいませ、主様。』


(なまえ)
あなた
ベリアン………!?
全員
キャーーーーッ♡
ベリアンーーーーーッ!!!!♡♡

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