正直、人を呼ぶと言っても普段はそんな部屋を片
付けたりすることもなかったように思う。
だけど、今回はそうもいかない。
いや、まあ、気にしなさそうだけどな、あいつ…。
そんなことを思いながらも急いで部屋を片付け
る。
ピロン
自分の携帯だ。急いだ取りに行く。もしかしてキ
ル…?
なんやねん。どうでもよ。
そしてまたスマホが鳴った。
予定よりも10分早い。キルって遅刻するタイプじ
ゃなかったのか…?と不思議に思いながらも部屋の
片付けも程々にし玄関へ迎えに行った。
お互い活動が忙しく、久しぶりに会えて心の底か
ら嬉しかった。
でもそんなことも言えるはずもなく、下を向きな
がら部屋へ案内した。
結局、まだかにちゃんは帰ってきていないので、
何も用意は出来ていない。
でも、キルはそんなことも気にせず、そわそわし
ていた。何かあったらおかしかったか…?
何も話さなず、無の時間がひたすら過ぎていく。
その沈黙を破ったのはキルだった。
こんなこと言われるのは初めてだった。
驚きが隠せず返答できずにいた俺に、キルはハグ
をかましてきた。
お互いに心臓の音がうるさくて堪らない。
あーあ。このまま時が止まれば良いのにとか馬鹿
らしいことを考えることしかできなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。