しるこside
目の前の光景が酷いことになっているのは分かるがどうすることも出来ない。
気持ち悪さは治まらなが、また吐くわけもいかない、でも上手く息はできない。
額から流れてくる汗が気持ち悪い。
ボーッとする意識は今にも眠れそうで、でも寝たらダメなような気がして
熱いし、寒いし、怖い。
働かない頭を必死に働かせスマホの存在を思い出した。
霞む視界の中震えた手でポケットからスマホを取りだし、ミンベンさんに電話をかけた。
かけたのはいいがこんな息でどうやって説明しようか、まず話せるのか?
3コール目でミンベンさんが出た。
それだけ伝えるとスマホを持っていた手の力が抜け、体が地面に傾いた。
あぁ、なんか呼ばれてる。
だんだんとミンベンさんの声が遠のき意識を飛ばした。
ミントスside
何となく荷物を置いて戻ってくるのに時間がかかってるな、とは思っていた
しるこさんから電話がかかってきたけどあれはどういうこと?
いくら名前を呼んでも返事はない。
携帯の向こうで聞こえたスマホが落ちたであろう音とゴトと言う何かが倒れる音。
しるこさんは今どこに……とにかく探しに行かないと。物置か、押し入れのどっちかだと思うし
すぐに部屋を飛び出した。
最初は物置を調べた。
お願いしていた荷物がここにあるからきっと運び終わったあとの事なのだろう。
しるこさんが倒れるほど重いものを持たせた自分を恨みたい。
その場を離れ急いで押し入れの部屋に向かった。
押し入れの前に着き、急いでドアに手をかけ開ける
開かない。此処ってこんなに開きにくかったっけ?もう一度力を入れ開ける。
そこにはぐったりとして倒れてるしるこさんの姿と吐いたあとがあった
肩を叩いてみるが反応は無い
どうしよ、どうしよ、どうしよ
救急車呼んだ方がいいのかな
そう言うしるこさんを見ると小さく震えていた。
少ししるこさんの呼吸が早くなってる気がする
どこにも置いていかないのに、1人で閉じ込められた部屋で心細かったんだ。
過呼吸になってる。どうしたら……
過呼吸は酸素の吸いすぎなんだっけ?だったら
落ち着いたかな?過呼吸起こしたら吐く量を多くしないといけないんだよね
そしたらとにかくしるこさんを部屋に連れていかないと
しるこさんを抱きかかえて部屋に向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。