第22話

黎佳の噂Ⅲ
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2026/06/14 00:15 更新
───
……私が、何者か?
七峰桜
ええ
怪異って、噂が廃れたら此岸にいられなくなるでしょー
───
………
なのに
 司は、私に限りなく近づいてきた。
どうして此岸こっちにいられるのカナーって!
───
………誰かがひっそり、噂してたんじゃない?
七峰桜
それはないわ
 苦しい言い訳を、七峰はあっさり振った。
日向夏彦
俺のは効くわけだし、噂の影響も受けるわけだし
 ほんっとわけわかんねー!と笑う日向を七峰は持っていた本で叩いた。
七峰桜
夏彦、あなたは黙って
日向夏彦
ぐ……っ、は、はい……
ねえ
 司がいつの間にか、さっきよりも近くにいた。
───
っ!?
キミはなに?
───
………
 ───……ねえ、

 ぎしりと、私の中のなにかが軋む音がした。
───
さあ?
 ───……おねがい
───
くっははは……
 蘇ってくる記憶を否定する。
───
この世界には、知らないほうがいいことなんてたくさんある
───
知らない、見えない、関われない
───
それが最も強固な武器になる
 ゆらりと、私は完全に『那岐宮黎佳』の姿を保つことをやめた。
 その姿を見た七峰と日向は、絶句する。
 どんなに、醜い姿なのだろう。
───
知りたいなら、止めない。でも、忠告してあげるよ
 蔓が三人に絡みついて、離せなくする。
 目も開けられぬよう。
───
じゃあね
 私は久しぶりに境界へ逃げ込んだ。私以外入ることのできない、まるで監獄のような境界へ。
 ─────ねえ、バケモノさん。

 ─────おねがい。

 ─────もう、限界だよ…

 ─────だからさ。






















 
 『私を食べて。代わりになってよ……っ』


 もう、あの子の顔も思い出せない。なんて言ったら嘘になる。だって私は、あの子の皮を被っている。
 でも、傷ついた顔も笑った顔も怒った顔も喋り方も全て。どんなだったか忘れた。
 私の笑い方と喋り方があの子の顔をしていて。記憶が混濁していった。
───
失敗かぁ……

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