第2話

2 僕のとなり
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2023/12/03 11:00
青⇄赤
あれって…
見慣れた後ろ姿が目に入る。
途端に胸は高鳴り、気付けば彼に声をかけていた。
えっ、ほとけっちじゃん!
僕の声に振り返った彼は、一瞬驚いて、はにかんだ。
ほとけっちもお出かけ?
うん!りうちゃん今ひとり?
いや、今は…
お待たせ…って、誰?
あっ、まろっ!
突然、彼の後ろから現れた見慣れない青い人。両手に2人分の飲み物を持っていて、その姿に、彼の表情は綻んだ。
…見たことがない表情だった。
りうらの友達!今、たまたま会ってさ〜
ああ、いつも話してた子か
そうそう!
柔らかい声、穏やかな雰囲気、どれも、僕にはないものだ。
まだ、名前さえも知らないのに、僕はこの人を受け入れられるような気がしなかった。
ほとけっち?
…っあ、うん…、なに?
ぼーっとしてたから…大丈夫?
あぁ…うん、だいじょーぶ!
それより…その人 誰?
え?あー…ほとけっちにまだ言ってなかったっけ…?
心拍数が上がる。それも嫌な上がり方をして、不安な気持ちが表情に漏れてしまいそうだった。
黒い気持ちが渦巻く。

『 ”そう”じゃなければいいのに。 』
実はね〜、りうら


恋人、できたんだぁ


眩しく、幸せいっぱいに、彼は笑った。

けれど、僕は、身体中にめぐる毒のような醜い感情に蝕まれて、そんな彼の笑顔さえも、歪んで見えた。
心臓が、うるさいほど存在を主張して、それでも「なんでもない」ことを装うため、無理矢理、口角を上げた。
えぇ、うそ!!先越されちゃったんだけどー!
でね?その恋人が、まろ…えっと、この人!なの!!
はにかんで、頬を染める。彼は嬉しそうに、その恋人とやらを見ていた。
りうら、そろそろ行かへんと遅れんで
あぇえ!?うそ!ほんとだ!!
じゃあほとけっち、そろそろいくねっ
あ…うん、気をつけてね
またね〜っ
彼の背中が小さくなっていく。けれど、僕には、そんな彼を呼び止めることなど出来ない。
例え、彼が一切許さなかった手を繋ぐ行為を、彼らがさも当たり前のように行なっていたとしても、僕はその様を呆然と見つめることしか出来ないのだ。
…そうして僕は、孤独ひとりになった。
僕の隣は君だけのものだったのに、君の隣はもう、僕だけのものじゃ無くなってたんだと考えるほど、渦巻く愛憎は膨らんでいった。
僕は、こんなに好きなのに…
恋を着飾った君を「可愛い」と褒められないならば、
僕はもう、君を友達とは呼べない。

僕じゃない誰かを求めた君にとって、まだ僕は、ただの友達だっていうのに。

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