どうやらじゃんけんは翔太が勝ったらしく、なんだか嬉しそう
マスターさんに手を振りながら店を出て、車に乗り込むとご機嫌にエンジンをかけて発進した
お腹いっぱいになった事もあって、来た時よりもなんとなく多くなる口数
どのナンとどのカレーとの組み合わせが1番美味しかったか話していると、それぞれの好みが分かれてて面白い
走らせる車の窓から遠くの方にホテルが見えて来て、ふっかさんが支配人さんへと連絡を入れてくれる
その声を聞きながら、2人して自然と口を噤む……
それは、電話中だからとかじゃなく、別れが近付いて来ている寂しさがそうさせているのかもしれない…………
サングラスをしてるから、あんまり表情はわからないけど、見える限りいつも通りで
なんだか、こっちばっかり悩んでる気がしてきた
……翔太も、少しは
寂しいとか思ってくれてるかな?
何度か交差点や信号を経て、脇道へ
敷地内に入った所で窓から覗くと通用口前まで出て来てくれている支配人さんが律儀にお辞儀をしてくれているのが見えた
なんだろう……
無事帰って来れた安心感と、終わってしまう寂しさ……
そして、今から始まる孤独との戦い……
そんなことが頭を過ぎって言葉が詰まってしまう
ふっかさんの言葉を遮るように支配人さんからの提案
ここで飲んだコーヒーや紅茶、どれも美味しかったけど、わざわざいつも支配人さんが選んでるのかな?
少し薄暗い廊下
支配人さんに案内されて縦に並んで歩く
1番前は支配人さん
その次にふっかさん
1番後ろに翔太
その2人に挟まれる様にして並んで歩く
何の気なしに手を後ろに回して組んだその瞬間
温かい物が触れた……
そのままギュッと握り締められて、翔太に手を握られて居ると分かるまでにそう時間はかからなかった
長いようで短いこの廊下
エレベーターの中
そして、また廊下……
ふっかさんと支配人さんが気付いているのかいないのか……
そんな事を考えるのも忘れて、気付いたらずっと手を繋いでいた
後ろ手で、こちらから表情は見えないけど温かくて……
私の手が痛くならないようにその都度位置を調整してくれていて
そんなちょっとした優しさと普段の不器用さのギャップを思い出して自然と笑顔になる
最初はすぐに解けてしまいそうだった繋ぎ方
気付いたらどちらからとも無く指を絡めて解けないようにしっかりと、強く、握り締めていた……
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。