「 カゲツ様に何かしたのか 」
と問い詰めてくるピンク髪の王子に
何もしていないと首を傾げて答えると
そもそも私のことを信じるつもりがないのか
ありえない、とすぐにそれを否定してくる王子。
…確かに、最近はカゲツ様が
すごく心を開いてくれているとは思うが
格段何かをしたわけではない。
やったとしても、瞳の色を見せただけだしな。
目の前で驚いたように目を見開く王子を横目に
一度お辞儀した後、その場から立ち去る。
信頼されていないのは知っているが
まさかあんな事を聞かれるほどとは
王子たちにはつくづく驚かせられる。
本当に、過去に何があったのだろうか。
国王ですら呪いについては
深く言及しない。
それを一家庭教師が深く追求するなど
あってはならないからな。
中庭に出て、花をしゃがみながら
見ていたイッテツ様に声をかける。
ここの花は本当に綺麗に手入れされていて
何度もいうようだが、とても大切に
大切に育てられているのが分かる。
にっこりとどこか謙遜しながらも
微笑むイッテツ様。
ふと、その周りを広く眺めてみると
彼の横に置かれた一冊の本と、一冊のノート。
筆記用具が目に入った。
……生物か。
カゲツ様の部屋にあるものと同じ…ということは
学園の教材だろう。
驚くイッテツ様に、横に置かれた
教科書を指さして言う。
…反応的に図星だろうか。
イッテツ様が、手を弄りながら
噛み噛みにそう言う。
ふむ、リフレッシュしながら勉強するのは
たしかにとても大切な事だな。
集中力が高まるし、記憶力にも恩恵がある。
私の言葉に、不思議そうな顔をする
イッテツ様にぐっと顔を寄せて言う。
あんなに言っているのに忘れられているなんて
まぁ、心外ではあるが仕方ない。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!