それから"Heavennovel"には入れなくなった。
あの管理者を名乗る男の言う通りもう俺に見るべき思いはなくなったということかもしれない。
俺が周りを見渡すと、そこには俺たちの文芸部の後輩がいた。
伊沢さんが泣き出した。
俺も泣きたくなってくる。
澄香は伊沢さんを抱きしめ、頭を撫でる。
考えれば、みんな結構可愛げのある後輩だったなぁ…。
突然溝口が遠くで叫んでいるのが聞こえた。
一旦部活の集まりを抜けて彼の様子を見に行く。
この2人はそれぞれの生き方を歩んでいく。
この戦いの結末を、今度聞きに行こうかな。
あの2人、怜美の…。
ヤバい、何を言ったらいいんだろう…。
俺は去ってゆく2人に深々とお辞儀をした。
彼らに顔向けするためにも俺はしっかりと…
俺は角田に呼ばれ、慌てて部活のみんながいる所に戻る。
こうして俺の少し不思議が混じった平凡な青春は、終わりを迎えた。
でもここからが本当のスタートだ。
怜美に与えられた…宿題をやるための。
認め合い、褒め合う
慌てずに、少しづつ
その言葉を胸に、俺は今日も生きて行く。
お前に沢山の…"Real story"を聞かせてやるために。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。