不思議だ。
この小説は、あの子と2人だけの秘密にしてたのに。
でも君が見てるってことは…そういう事なんだよね。
EP.9 "もしも"は"ほんと"になる
「さびしいの?」
「さびしいなら、あそぼうよ。おねえちゃん。」
私自身の葬式で泣き崩れる私を見て、何人かの小さな子供が声をかけてくる。
ん?私が見える…てことは!
「おねえちゃんも、ぼくたちのなかまなんだよね!」
え…?私が…仲間?
でもよく考えればおかしな話だ。
葬儀中とはいえ誰も私はおろか、子供にも目を向けない。
やっぱり、この子達も…
「おねえちゃん、かなしまないで。」
「おねえちゃんに、いいことおしえてあげるよ!」
子供たちは葬儀場の中に入る。私も後を追う。
「ほら、こっちこっち!」
泣いたままの私に子供たちが見せたもの、それは…泣かないで葬儀の段取りにいそしむ、お父さんとお母さんだった。
「わたしのままがいってたんだ。じぶんまでないてたら、わたしがもっとつらくなってあんしんしててんごくにいけないから、だからなかないって。」
「おねえちゃんのままも、きっとおねえちゃんをあんしんさせたいんだよ!だから…」
安心…か。
そうか。
私はもうこの世にはいない。
私はもう、穏やかな日常を送ることが出来ない。
でもだからこそ、残った人たちには穏やかな日常を送って…生きて欲しい。
私が大切に思った…私が青春を預けてもいいと思ったみんなだからこそ…。
そのためには、私自身が安心しなきゃいけなかったんだね。
ね?
私は前を向き、ただ自分の進む道を歩くことにした。
ずっと見てくれたんだね
嬉しかったよ
急かしたりなんかしてごめんね
私なんかのために、君が突き動かされるのが見てられなかった時もあったし、怖かったけど君はここまで着いてきてくれた。
君にこんな形でしか…感謝を伝えられないのはちょっと辛いけど、でも…でも…伝えられたんだから、良かったよ。
慌てずに、少しづつやっていれば手放したものでも本当に手に入るんだね。
まあちょっと、ずるい気はするけどね。
これで本当のお別れだけど、いつか君も…あの子も生ききって私のところに来た時にはまた一緒に青春を作ろう。
"If story"じゃない、君が見た"Real story"を聞かせてよ。
ね?丈。
あ、追伸!
だからって慌てちゃダメだよ!
慌てずに、少しづつ丈らしく生きていて。
互いを認め合い、褒め合う心も忘れずにね。
じゃあ、今度こそまたね。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!