私はアイツが嫌い
自分を信じて前だけ向いて
ズカズカ未来へ進むアイツが嫌い
前しか向かないから
後ろを向かないから
後ろの私を見てすらくれない
そんなアイツが大嫌い
グワァァ
真希が手を引いてくれたから私は怖くても進めた
真希は呪霊を初めて見ても怖がりもしなかった
怖かったけど慣れてきたし真希の言い方が面白くて安心した
初めて言われたとき少し嫌だった
真希が強くなるなら私も強くならなきゃいけなかったから
大きくなるにつれ二人で居れる時間が減っていった
別に私はずっと家の奴らにこき使われたって良かった
家事、掃除、洗濯、お茶汲み、なんだってよかった
でもアイツはちがった
フォンッ(素振りをする音)
アイツは努力し続けれる人だった
でも、私は努力し続けれるような人にはなれなかったしなりたくもなかった
アンタが家を出て強くなるために努力したら!私まで行かなきゃならなくなるじゃない!
私も頑張らなきゃ、あんたの頑張りが無駄になるのに!
アンタのその置いていくのに私を大切にしようとする所、ほんっと大嫌い
離さないって言ったのに
嘘つき
酷いよ
私は疎まれる双子でも、女でも、一緒に居れればそれで良かったのよ
双子だから、姉妹だから
ねぇ、知ってた?姉妹は一緒にいるっていう決まりがあるのよ?
知らなかったでしょ
だから
縛りも、呪力も、全部、ぜーんぶ私が持っていってあげるから
最後くらいお願いきいてよ
おねぇちゃん
大好きだよ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。