第8話

 watermelon sugar
893
2023/08/09 14:05 更新
































目にかかるように落ちてきた前髪をすっと耳にかけられた

かけてきた主を見る









また 、冷たい瞳だ

薄汚くみっともない世界で生きてきたやつのその生き様が現れた瞳だ

私だって純な瞳ではないだろう

2個下の男に金貸して 、闇金バラして逃げて社会的にオワってる



















「 ... なに 、 」















じっとりとした密度の高い時間が流れる

何が起こるかなんてこの空気感になれば分かる









持っていたスイカをゆっくりとお皿に置いた

親指と人差し指と中指が濡れている





















最初はほんの一瞬だった

一瞬だけ重なった唇とスイカの果汁で鳴ったリップ音

そこで止めればよかった




















リノの唇を見てから 、瞳に視線を戻す

慣れているようで慣れていないキスは冷たい瞳と裏腹に熱く優しかった












2回目













押し付けられるような感覚になる

後ろにあるものはなんだか分かっているし

このまま倒れればそこは彼がいつも寝ているであろう白いシーツのマットレスだ

くっと唇で押されて肩に手がかかる







後頭部に添えられた手 、

目を閉じてしまった私がルーザーだ

激しくなるキスに身を任せたままどこか冷静でこの状況を俯瞰している自分もいた




























バカだ .




















反対側を向いて寝る裸の背中を見て思う

















これはただの惚れ合い .










上手く行ったり 、両思いになったところで

幸せは生まれないしプラスなことなんて何もない

恋なんてもんじゃない 、

もっとレベルが下の 、あるいはもっと上のもの














曖昧な関係でいた方がまだ美しさに浸れる

毒舌で素っ気ないけどセックスは優しいところ

彼の中で唯一自然な笑顔を見せてくれるのがこれで



















「 ば 、か ... 」
















とその一糸も纏わない背中に指で書いた

これは自分の話 .













くすぐったそうにもそもそと丸まる


















好きでも大好きでも愛してるでも一緒にいたいでもない

誰かのものになってほしくないという

マイナスな感情で結びついた私とリノは












布団の端と端で 、悩んでいた .

どうしたらまた会えるんだろう .




























プリ小説オーディオドラマ