ずいっと顔を近ずける彼はチーノ
人を騙すのが得意な彼は詐欺師とも呼ばれる
話術はこの軍で二番目に長けている
彼から視線をずらしたチーノは負けた
少しの動きも彼は見逃さない
小さな針を奪い、目に向かって打つ
針の先端には毒が塗ってあり
当たれば失明といったところか
まさか自分がやろうとしていたことを彼にやられるとは
思っていなかっただろう
こんな会話を交わしている最中でも
オスマンは細工を施す
相手に違和感を持たせず、どれだけ騙せるか
さらに、どれだけ興味を持たせられるか
このふたつが優秀な彼はこの国の外交官だ
つまり、軍一を誇る話術の使い手
それでも勝てないとするならば
この化け物をどう倒したらいいのやら
普段ならすぐに見破れる細工だが、
オスマンの手にかかれば、少しの希望はあったようだ
まぁ、結局は無駄な事だったが……
彼はピアノ線で首を切られた
軍で二番目に強いであろう、彼の名はトントン
彼の粛清剣は白い首に当たっている
初めての油断だった
若干の驚きと、九割の興奮
強いものが現れたことであなたの下の名前のリミッターは外れた
トントンが今、出たのは間違いだったとでも言うように
彼の拳で粛清剣は折られ、そのまま腹にも当たる
威力は弱まることを知らない
トントンはぐったりしてしまった
「へぇ、凄いじゃん。これを受け止められるんだ」
story4➤ end
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。