第18話

26話
230
2025/12/20 07:32 更新
あなた
うわ…なんか、やだな……

読み進めていくにつれ、辛くなる。
こんな夢小説みたいな日記を書いていたのか。
もし、疲労困憊でこんなことをしようと思ったのなら、その時の自分を思いっきり労わってあげたい。
日記も、終わりに近づく。
最後のページをめくる。





『みんなからの「ありがとう」を聞いて、さらに泣きそうになる。

寂しさ押し殺して、笑って言った。

「それじゃあ、またね」

私は、トリップしたいと強く願って、夜明けを待った』






最後まで読み終え瞬間、昨日のことのように全てがよみがえる。
あなた
っ……そうだ、私、トリップしたいって思って、寝て、仕事から帰ったらみんなが居て……

足りない椅子と机を買って、服とか靴とかを買って、作戦会議をして、萩原さんがミサンガを作ってくれて、任務帰りに伊達さんたちと遭遇して、そしてら萩原さんたちが捕まっちゃって、5人でアイツらを制圧して……


この日記は、現実なんだ。

疲労にあてられたアラサーの、哀しい夢でも妄想でもなんでもないんだ。
あなた
なんで、忘れちゃってたんだろう……


きっと、あるはずのない記憶だから。
もしかしたら、いや、確実にみんなの中にあの日の記憶は無いだろう。
でも、きっと。
アニメの世界でもそうだったように、「フィクションがノンフィクションとして存在している世界線」の住人として、運命に向かって歩いていくんだろう。
もしかしたら、それぞれの運命の日を分岐点として、生きている世界線と亡くなってしまったている世界線のどちらもが、平行世界として存在しているかもしれない。

そんなことを思うと、気持ちが軽くなった気がする。

私たちは、目の前にある"今"を受け入れなければいけない。

それがたとえ、どんなに残酷でも、哀しいものでも。
時間がかかっても、いつか必ず受け入れられる日がくるから。
時の流れに身をまかせて、気持ちが落ち着くまで。
忘れないように、でも、自分を痛めつけすぎないように。
過去は変えられないし、変えてはいけない。

だから、じっと前だけを見据えて。
大丈夫、私たちは弱くない。
諦めちゃいけない。
1歩踏み出せば、あとは進むだけ。
それを、彼らは教えてくれた。
前への進み方を、明日の信じ方を。
あなた
よし、明日も頑張りますか!


自分自身に喝を入れるように、頬を叩く。

久しぶりに自炊でもしようか、と私はスーパーへと向かう。

今日の夕飯は、ビーフシチューだな。
作り方なんて知らないけど、やってみるしかないだろう。
 

そうそう、2冊分の日記には、それぞれ題名のようなものが書いてあって、それはどちらもこう書いてあった。







『逆トリしてくるなんて聞いてない!!』

[完]

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