もしかしたら、過去の僕は二股していたのかもしれない。
家に帰った後に悩んだ末、僕は三崎に正直に打ち明けることにした。
ガンガンと警鐘を鳴らすような頭痛がする。
痛みに思わず僕はうずくまった。
小塚さんは僕にラッピングされた袋を押し付けるように渡すと、足早に去っていってしまった。
頭痛がおさまる。
僕はうずくまった姿勢のまま顔をあげた。
三崎が焦った様子で僕に話しかける。
今のは……事故に遭う前の僕の記憶?
泣いている三崎を優しく抱きしめる。
さっきの記憶……。
小塚さんは俺に一方的にお菓子を押し付けていた。
やっぱり今日の小塚さんの話は作り話だったということなんだろう。
三崎のことを裏切っていた訳じゃなくて本当によかった。
三崎の顔色が変わる。
こちらを見る紫の瞳が翳る。
三崎は走り去ってしまった。
あのぶんだと、三崎のことを名前呼びできる日は遠そうだ。






















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!