*・゜゚・*:.。..。.:*・
アイエンside
ーコンコン
フィリックス
「はーい?」
久しぶりの、リクスヒョンの声
それだけでちょっと嬉しくなった
アイエン
「ヒョン、入っても大丈夫ですか?」
フィリックス
「えっ、イエナ!?」
ーガチャ‼︎
アイエン
「わっ」
ものの1秒足らずでドアが開き、気づけば懐かしいリクスヒョンの顔が目の前にあった
フィリックス
「イエナぁぁ!会いたかったぁ…!」
ーギュゥ…
リクスヒョンに強く強く、抱きしめられる
可愛い見た目で力が強いのも、変わらないなぁ…
アイエン
「ヒョン…課題は大丈夫ですか?」
フィリックス
「うん!もう大体終わったとこ
さっ、入って入って〜」
リクスヒョンに促され、部屋に入る
昔とは違って、難しそうな本や参考書が沢山あった
アイエン
「すごい……」
フィリックス
「もう勉強漬けの毎日って感じ
でも楽しいよ!勉強すればする程、ビニヒョンと話せることが増えて…」
アイエン
「ふふっ……」
ビニヒョンのことが大好きなのは、全然変わってなくてよかった
いつか、ビニヒョンとリクスヒョンが一緒にお薬を作れる日が来るといいな…
フィリックス
「ん!イエナ、それってもしかしてパン…?」
リクスヒョンが僕の持つ紙袋を指差した
アイエン
「ふふっ…そうだよ!
リクスヒョンのために焼いたパン!」
袋から、一つパンを取り出す
いつかヒョンの見せてくれたお星様のような形のパン
ちょっと不恰好な形になっちゃったけど……
フィリックス
「かわいい…!
ね、今食べてもいい?」
アイエン
「もちろんです!」
リクスヒョンに作ったパンはしっとりした生地に、生クリームをたっぷり入れたパン
フィリックス
「ん…中のクリームすっごい美味しい……
でも、なんか食べ馴染みがあるような?」
アイエン
「すごい!実はそのクリーム、リノヒョンのレシピなの
毎年、クリスマスに作ってたケーキの!」
生クリームに砂糖、マスカルポーネとレモンを少しだけ入れる
分量はリノヒョンが研究し尽くした比率らしい
食べれば思わず笑顔になるような、このクリームの味が大好きだった
フィリックス
「イエナはすごいなぁ…
こんな美味しいパン作れるなんて!」
アイエン
「え、いやいや…僕なんか全然……」
フィリックス
「ええ〜?なんで……
相変わらず自己肯定感低いなぁ」
ああ、またやっちゃった……
リクスヒョンがせっかく褒めてくれたのに、僕はいつも"ありがとう"ってそれを素直に受け取れない
謙遜で言ってるんじゃなくて、本当に思ってる
皆僕のことを沢山いい子とか、凄いって言ってくれるけど
本当はパン屋さんでも、不器用で失敗だらけ
その度に店長が気を遣ってくれるけど、それすらも時々辛くなる……
フィリックス
「イエナ……?」
アイエン
「あっ…」
黙りこくる僕を、ヒョンを心配そうに見つめていた
だめだめ、ヒョンを不安にさせるような顔したら…
フィリックス
「イエナ…なんか悩んでるでしょ」
アイエン
「い、いや…そんなことないですよ……!」
ヒョンの視線が僕を見透かすように刺さる
フィリックス
「…イエナの心、ちょっと疲れてるの見えてるよ
僕の目は誤魔化せないんだから」
アイエン
「あぅっ……」
ヒョンの能力、ずるいよ……
やっぱり、リクスヒョンに嘘はつけない
アイエン
「………」
でも自分の今の気持ちは、どうやって言葉にしたらいいんだろう
凄く凄く幸せな毎日のはずなのに
どこか不安だ、なんて
悩みなのかな、これ……
フィリックス
「ふふっ……イエナがなんか考え込んでる時の顔、可愛い」
アイエン
「え?」
揶揄うように、ヒョンが僕の頬をつつく
フィリックス
「イエナ、」
ーギュッ
突然、リクスヒョンに抱きしめられた
フィリックス
「イエナはいつも頑張ってるよ、えらいね…」
アイエン
「っ……」
柔らかくて温かい手が、優しく僕の背中を撫でていた
アイエン
「ヒョン…僕そんなに子供じゃ……」
フィリックス
「いーから、いーから」
なんで、18歳にもなって
ヒョンに抱きしめられて、ちょっと泣きそうになってるんだろ
悩みを、口に出したかった訳じゃない
ただ、誰かにこうして受け止めて欲しかったのかな…
フィリックス
「僕はなにがあっても、イエナのこと大好きだからね…」
リクスヒョンが赤ちゃんを扱うように僕を撫でる
やっぱり、ヒョンには敵わないや……
*・゜゚・*:.。..。.:*・
ついに大人になった🐥ちゃんも…!
次回、おそらく完結です!!













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!