カナン×実弥
カナン×義勇 要素注意
昨日の夜の事。実弥に自分の思いを告げて、2人して酒を飲んだ。
お互い少しの量しか飲んでないが、それなりに良い酔い方をして、気分が上がって昔話に花を咲かせた。
そして酔っ払った僕は何を思ったか、実弥を抱き寄せ子守唄を歌い実弥をあやし初め、それを聞いた実弥はすぐに寝てしまい。
そのままの体勢で起きた時は本当に驚いた。僕は座ったまま寝ていて、実弥は僕に膝枕されていた。
稽古が始まる寸前まで2人してばたばたと片付けや準備をして、最後に柔らかい抱擁をして実弥は帰っていった。
普段より甘えただった実弥もかわいかったな。甘えたと言っても、ベタベタと引っ付くわけでもなく。甘え上手だなと思う。甘えるまでが下手だけど。
ぞろぞろと隊士達がやってくる。
今日も良い天気だ。
午前の稽古が終わり、お昼休憩をとっていた時。
手には何かの包みを持って、家に義勇がやってきた。
僕、おはぎ好きだったっけな。
僕は自分の好物をよく把握していない。普段食も細いし、"物を食べる事"に対して楽しいとかを感じたことはあまりない。皆との食事は楽しいけれど。
そうだ。思い出した。
昔食べた何処かのくるみのおはぎが美味しくて、義勇に言った気がする。
「2人ともおはぎが好きなの?」と不思議そうに言われて笑った記憶がある。
悩む。義勇は人の感情を察するという事が出来なくなってきている気がする。
いくら人と関わることが少ないにしろ、その少ない機会に人が離れていっては元も子もない。
胡蝶や僕は分かっていても、他の人はそうじゃない。
それを分からなくなってきている。日に日に。
何とかせねば。
義勇が持ってきたくるみのおはぎを頬張る。
美味しい。動いた体にこの丁度いい甘さが染み渡る。
義勇にしては歯切れが悪い。
接吻。好いている者同士がする、あれ。
純粋な義勇がそんなこと元から知っている可能性は低い。
宇髄か?
胡蝶か?
甘露寺か?
まあ誰でもいい。
僕は義勇の肩をがっちり掴み、目をしっかり見て言う。
僕らがいくら何年も前からの縁でも、この前好いていると告白したばかり。進展するにはまだ早い。
でも、こんな可愛い義勇は子供の頃以降だ。
最近の義勇はスンとしていて、感情がないみたいだった。よかった。感情はあったらしい。
宇髄天元…今度会ったらキツく言っておこう。
だめか…?
駄目だ。駄目に決まっている。義勇に上目遣いに頼まれて、僕は唸る。
義勇はこういう時距離の詰め方が分からないのか知らないのか、ぐいぐいくる。
この上目遣いひとつにしても、義勇は狙ってやってるわけじゃない。まさに天然物。
駄目だ。だって、実弥が可哀想だ。
あ。
そうだ。接吻する時は2人がいる時だけはしてもいいようにしよう。それなら許されるだろう。
なんとか僕の中で納得させ、義勇に話しかける。
もうどうにでもなってしまえ。
今接吻できない代わりに、義勇の手を取り口付けをする。
それが恥ずかしい行為だと分かったのか、義勇は数秒固まったあと元々真っ赤だった顔をさらに赤くした。
別に接吻が必ずしもいかがわしいものでは無い。西洋では親愛の証に接吻をするらしい。因みに、西洋などでは"キス"というお洒落な言い方をするらしい。
僕らがするのは、まだそんな意味の"キス"。きっとそう。
僕は若干フラフラしている義勇を見送って、残り一つのくるみのおはぎを食べ始めた。
今日は僕は手合わせには行かなかった。
行っても集中できそうになくて、僕は自分の屋敷で藤の花を眺めていた。
2人とも履物を綺麗に揃える。
月の光に照らされた実弥の髪はキラキラ光り、義勇の目は海のように透き通っている。
2人の顔をまじまじと見てしまう。
緊張というより、この変な空気に耐えられない。
誰も何も喋ろうとはせずに、誰かが口を開くのを待っている。
これから僕らは接吻をするのだ。一世一代の接吻だ。
そんな思いで三人ともここに居るのだ。
僕と実弥と義勇の間には、畳縦一枚分の距離がある。
義勇と実弥は二人並んで座っていて、三人とも正座。
そうだな。どうしようか。
唐突な"じゃんけん"という単語に、実弥も義勇もぽかんとした顔をした。
先程の変な空気より幾分かましになって、安堵する。
わけも分からないまま二人はじゃんけんして、結果は実弥の勝ち。実弥がチョキで、義勇がパー。
実弥が近づく。
座っていると体格差はあまりないように見えるが、目の前にすると体の横幅に驚く。本当にガタイが良いな。
下がった場所で見ている義勇が、目を手で覆ったのを確認する。
さぁ。
実弥の頬に手を添える。実弥がスっと目を閉じる。
優しすぎて音も出ないほどの、キスをする。
少し目を開けて見れば、視界の隅っこに写る義勇は、目を隠しているはずの手の隙間からこちらを見て真っ赤になっている。まるで生娘のように。
ゆっくり角度を変える。実弥の腕が腰に回る。
体感は10秒ほどだろうか。でも多分、もっと長い間キスしていたと思う。
僕にとっての初めてのキスは、実弥。
後でこっそり教えてやろう。
ゆっくり唇を離す。
ぱちりと実弥と目が合う。
頬から手を離す。腰に回されていた腕がほどかれる。
そんな一つ一つの動作に、熱がこもっている。
慣れているのか。その疑問は口に出せなかった。そんな野暮なこと聞けはしない。
顔を真っ赤に染めながら珍しく怒ってるような顔をし、僕から実弥を引き剥がし前にスっと座る。
そっぽを向いた義勇の顎を掴みぐいとこちらに向ける。
先程のキスよりも激しく。
ちゅっと音がつきそうな程のキスをする。
でも優しく、丁寧に。ビクッと義勇の体が跳ねる。
義勇の手はやり場をなくして宙に浮いている。
義勇の右手と僕の右手を繋ぎ、にぎにぎと遊ぶ。
義勇は息を止めている。呼吸をさせてやるため一旦口を離し、角度を変えてまた口付ける。
目を開けて義勇の様子を楽しんでいると、実弥と目が合う。
明らかに不機嫌な顔をして、腕を組んでこちらを見ている。
このまま舌でも入れてしまおうか。いや、それは違うな。親愛のキスではなくなってしまう。
ゆっくり口を離す。義勇はすーはーと息を吸い、顔を真っ赤に染めている。
今度は実弥が引き剥がす番。
僕と義勇の間に無理やり空間を作り、そこにドカッと座る。
ああ。やっぱり二人共お互いがずるくて仕方なかったんだ。
思ったより早く進展していく僕らに焦っていたんだな、義勇は。
二人を平等に愛そう。そう心に改めて誓う。
次がいつになるかなんて分からない。でも、約束しておけば叶う気がして。
喧嘩する二人を見て笑う。ああ、愛しい。
そんなこんなで就寝時間。
三人横並びに布団を敷いて、手を繋いで寝る。
実弥の左手、義勇の右手を持ち、ぎゅっと握る。
子守唄を歌う。義勇はすぐに寝てしまった。
実弥の左手に口付ける。わざと口でちゅっと音を立てる。
実弥は何も言わなかった。照れているのか、それとも寝たのか。
僕は確認しなかった。確認せずともわかる気がしたから。
愛してる。心から。
その翌日は三人共大寝坊をかました。
第10話
終わり












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。