とりあえず家に帰って来た。
いつも通り母親が迎えてくれる。少し遅くなったのは気づいていないようだ。
そう言い、僕は階段を登る。
部屋に入り、椅子に腰掛け、ため息をつく。
そんなため息をつきながら僕はまた影に飛び込んだ。
こっちの世界の方に戻って来た僕は、息を吐いた。
何と言うか、デカいわけでも、小さいわけでもない計画だった。
ただ、実行するのは零人ということは安心出来るかも知れない。
…本当に安心だろうか?
相手は影。本当に信じて良いのか?
…大事なことを忘れてる気がする。
脳に響くような彼の声。
そういや影世界行かなくても喋れるんだった。忘れてた
…ただのテレパシーってなんだ?
そんなことを思いながら、僕は部屋から出て、リビングへと向かっていった。
俺はやらなくちゃいけないんだよ。
お前にどう思われてもいい。
だって、影だから。
運命は回り続けている。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!