お客さんの対応をしながらドズルさんを見る。
家からそう遠くはない。前もたまに来ていたところだったから。
ただ、ドズルさんがひとりで外出しているのが不思議だった。今までもご飯は任せていたけど、買い物は俺がしていた。
在庫もしっかり確認していたはずだが、
ドズルさんはいつも目的を持って行動する。俺にはドズルさんの意思が、今も、今までも分からなかった。
3年間、傍で見てきた筈なのに……。
因みにぼんさんは分かりやすい。メンもまぁまぁ……。
ドズルさんと目が合ったのに瞬間的に逸らしてしまった。しかも途端微笑むから罪悪感が押し寄せてくる。
会えて嬉しい、それが頑張れる理由でもあったから。
でも、正直恥ずかしい。何も恥ずべきことでは無いのは分かってる。誇れる事だって、きっとドズルさんもそう言ってくれる。
話したい気持ちがある反面、そのまま1人のカスタマーとして買い物をして欲しいと願っている。矛盾、正にそれだ。
期待に応えてくれたのか、応えてないのかニカッと笑って歩いていく。
ドズルさんに集中しすぎて仕事を疎かにしてしまった。
それから10分。ドズルさんが自分のレジに並んだ。
ドズルさんがニコニコで商品を差し出す。
それならコンビニで買えるだろと思ったが、俺に会いに来るためでもあったのだろうな。
そう、思ったけどそのまま買い物をして去っていく。
店内にお客さんはほんの少し、1人のレジで足りるんだろうけど。
レジ対応を終えた五十嵐さんが急にはなしかけてくる。
なんで笑っているのか分からないけど感謝だ。
辺りはまだ明るくて、ドズルさんの嬉しそうな顔が良く見えた。
良く見てるんだな。
お客さんと店員の関係でも?と思ったけど、ドズルさんのことだ。きっと答えはYesだ。
それよりも、気になる事、分からないことがある。
そんな........無理なんてしなくていいのに。
俺はただ皆でご飯を食べたいだけなんだから。
自分がしたいようにして欲しい。大好きなこの人たちだけは。
心配しすぎたかも。
ドズルさんがこう言っているんだ。この人を、皆を信用しよう。
ドズルさんにそう言って貰えるだけで本当に嬉しい。
俺の事も、言葉の一つ一つもしっかり聞いていてくれる。
もう、終わりか....。もう少し話しててちゃ、ダメかな。話せただけでも嬉しいのにこんな事を思うなんて欲張りすぎるかな。
秘密....?
咄嗟に口走ってしまっただけの質問だったけど、予想外の返答で少し驚いた。
手を振りながら店内へ向かう。
やっぱり、夏はいいな。
もう遅い時間なのにドズルさんの表情が良く見えるや。
夏の太陽みたいに輝いて微笑むドズルさんの表情が。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。