新しい家族ができたからって、
幸せになれるとは限らない
私には血のつながってない弟がいる
施設から引き取られて、数年は楽しかった
新しい両親は子供がいなかったから、
私をとても愛してくれた
でも、ある日子供ができた
お腹を痛めて産んだ子だもんね
弟が生まれてから両親は私には見向きもしなくなった
そこから私を愛してくれたのは、
輪花だった
遊ぼうと言ったら遊んでくれ、
話そうと言ったら話してくれる
ほんと神だよね
弟は変な絡み方してくるし、
私のこと好きなのか嫌いなのかわっかんない
だから、その時の私の光は輪花だった
輪花がいるから離れた兄の元へ戻らなかったし、
最悪な家庭の中でも耐えてきたんだ
久々に見た夢があの家族との夢…
今日はいい事は起きなさそう
カーテンを開けて窓から輪花の家を見る
私は輪花の家の前に住んでいる
あの家族が嫌で、でも輪花とは離れたくなくて
たまたま前の家が売家になったから、
ここに住むことを決めた
ここの悪いところといえば、
あの家族と縁を切れないというところだけ
家が近いからタイミングが合えば会えてしまう
そんな事を考えながら宇季衣家をチラ見し、
すぐに視線を輪花の家に戻す
すると目に飛び込んできたのは、
後退りする輪花と輪花と距離を詰めようとする吐夢
なにやら少し揉めているようだ
少し様子を見ていると、
輪花が家に入り、吐夢がお巡りさんに声をかけ
お巡りさんが輪花の家に声をかけているすきに、
吐夢が私の家に向かって歩きだしてきた
焦って一階に降り、ドアを開ける
そこには焦る様子もない吐夢が立っていた
お巡りさんに声をかけていたのを思い出し、
すぐさま家に吐夢を入れた
私達2人だけになったので、何をしてたのか尋ねる
どうやら輪花は影山というプログラマーと
会う約束をしているらしい
同意を得たところで
時計を見て針が10時を指すことを確認する
フッ、と微笑んでくれたのを見て、
私も微笑み返す
吐夢を近くまで送り届けた後、人とぶつかった
顔を上げて謝ると、そこには私の好きな人
ラウールさんがいた
えへへ、と笑いながら答えてくれる
まぶしい………!
ぱぁと言う効果音が付きそうなくらい笑ったあと、
手を振りながら歩いていった
そっか、家近いんだと思いながら家に帰る
私にもラウールさんにも、色々ありすぎて
住所を調べるのを忘れていた
朝から吐夢に会えて、
ラウールさんに会えて、
ラウールさん本人から住んでいる場所を聞けて
少し嬉しくなり、
るんるんで家に帰った












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!