（どれどれ…今年の志願者は…）

（名門貴族の長男に
　魔法局事務次官の息子etc.）

（ふん、世間的には
　有名どころといったところだな）

（流石、格式高い我が校に
　相応しい意識の高い受験者達だ…。）

（杖の手入れに魔法書のチェック、
　試験に対して余念が無──）

（なんで！？）

（え？　どういうこと！？
　今から魔法学校の編入試験なんですけど）

（なんで筋トレしてる奴いんの？
　おかしくない？）

（いや落ち着け、見間違いだ。きっと…）

（ここは魔法学校。いる訳ないだろ、
　そんなふざけた奴──）

（空気イスしながら
　筋トレの本読んでる…！！）

（うん、受かる気あるの？
　せめて魔法に関する本であれよ！）

（なんか1人で言ってるし。
　しかも後ろの2人はなに？
　全然隠れられてねーし）

（…ん？）

（！？　詠唱無しでだと！？）

（…まぁいい、どうせ
　あんなふざけた奴は
　試験ですぐに落ちる）

今回の編入試験を担当する
クロード・ ルッチだ。

よろしく。

（なっ…なんて気持ちいいんだ…
　もっと私を崇め奉ってくれ…）

（あいつは絶対に落とす。）

では早速、1次試験を始める。

全員、席につけ。

（殺す）

（……まぁいい。
　この編入試験は突破率3%
　アイツのようなふざけた奴は
　まず通らん）

制限時間は30分！！

それでは始め！！！

（そう、その答案用紙には
　私の魔法をかけてある。
　問題自体は容易だ。）

（つまりこの試験の合格基準は
　この魔法を解き文字を
　整列させることにある）

（ムッ…コイツらはさっきの…。
　まあどうせ中途半端な…）

（なっ…すっごい整列してる…。）

（ぐっ…。あの男(晴人)はともかく、
　何故あんなふざけた奴が残っている！）

（私をバカにする、
　あの品のないガキが！！！）

（……こうなったら）

次の試験はこれだ！！！

次の試験はこの迷路を解いてもらう。

もちろん、ただの迷路ではない。

中には様々な罠が仕掛けてある。

制限時間は30分。
時間内にゴール地点にいた者を合格とする。

それでは、始めっ！！

（…ん？　アイツは確か…
　無詠唱でドーナツを出した…）

（もう出てこれたのか？
　5分も経ってないぞ？）

（ククッ……そろそろ時間だ…。
　数多の罠に迷路の番人……
　更に、私が用意した足止めの生徒。
　さすがにこれだけすれば奴も………）

…ん？　これ何の音？

（なっ、まさか……）

（厚さ1m、いかなる強力な魔法を防ぐ…）

（この…）

（壁があああああああああぁあ！？！？）

おい、やめろっ！

言えばただじゃおかないぞ！？
今ならあの約束もまだ考えてやる！

…………フン。

そうだ……悪いか？　私は試験官だ。
気に入らない奴を落とそうとして何が悪い？

そもそもふさわしくないんだよ、貴様らみたいな底辺臭のする人間は。
この高貴なエリート校にはな！

小汚いローブを着てるからすぐにわかったよ、訳ありだってね。

底辺にも利用価値があると思って声をかけてやったのに恩を仇で返しやがって。

頭が悪いのは親ゆずりか？
そりゃ当然みすぼらしい人生って訳だ。

私は私の判断が間違ってるとは思わない、お前たち2人は不合格だ！

文句があるなら私に盾つくか？
イーストン魔法学校のエリート教師である、この私に！！　貴様も逆らうなら、3人とも不合格だ！　それが嫌なら、私に攻撃魔法でもなんでもくらわすがいい……もっともそれができたらの話だがなぁ！

え？

…！？（何があった！？）

（てかまたコイツ
　無詠唱で…って、ドラゴン？
　え、ドラゴン？　え？
　いつの間に呼んだの？）

だ、黙れ黙れ！！
お前らの言うことなんか──

！！

ウォールバーグ校長……。