昼夜逆転の生活にも慣れてきてしまったこの頃
彼の目撃談がちらほら上がるようになった
でも、逃げ足が速く捕まえられないらしい
早く捕まればいつもの生活に戻れる
こうしてグクにも、二人にも迷惑をかけることはない
彼から与えられた恐怖はいつになっても薄れない
ずっとこうだからと病院に行ったりもした
でも、結果は治るのを待つしかないと言われた
きっと彼が捕まれば徐々に消えていくと思う
昔からトラウマに陥りやすい性格だった
それがこんな裏目に出るとは思わなかった
グクはそう言ってそっと私の額に触れた
温かな手が冷めきった心を温めてくれるようだった
いくら昼夜逆転生活に慣れたとは思っても
やはり、身体には相当負担をかけていたみたいだ
グクだけ起きさせるなんて申し訳ないのに
私の頭を撫でる手は私を寝かしつける為の手だった
優しくて温かな安心する手
いつもそれにすぐに微睡んでしまうからには
案の定すぐ夢の世界へ行ってしまい……
その後辺りには軽いリップ音が響いた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!