次の日の昼休み、
教室を出て廊下に出ると
校庭や階段のざわめきが遠くに響く。
学食に座り、
注文した食事が届くまでの間、
私は視線を窓の外に向けていた。
廊下を歩く生徒の群れの中、
ちらりと遠くに見える葛葉とこあの姿。
胸がぎゅっと締め付けられる。
すぐに見つけてしまう。
昨日と一昨日のことが、
まだ心の奥でじわじわと疼いている。
湊くんの声は小さいけど確かに私の胸に届く。
言われた瞬間私はうなずきかけてから、
小さく肩をすくめた。
するとサラが、軽く肩に触れて笑った。
私の頭の中で、その言葉が何度も反響する。
放っておくって簡単にできることじゃない。
葛葉が笑ってこあと話している姿を見れば、
胸がざわざわして、目が離せなくなる。
嫉妬も、悔しさも、まだ消えない。
でも、サラの笑顔と
湊くんの真剣な視線を思い出す。
二人は私を責めるわけでもなく、ただ
「 今は自分たちといる時間を大切にしよう 」
と言ってくれている。
その言葉に、少しずつ力が抜ける気がした。
口に出すと不思議なことに、
胸の奥のぎゅっとした重みが少し和らぐ。
放っておくっていうのは
ただ無関心になることじゃない。
葛葉やこあのことを
頭にちらつかせながらも、
自分の気持ちや今一緒にいる友達との
時間を大事にすること。
その考え方なら前に進めそうな気がした。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!