第4話

#2
7
2026/05/16 13:00 更新
その日から私の"悪役令嬢計画”が始まった
ロレーナ・アーシャ
…っ、く.....!
小さな身体で、必死に腕を支える
ロレーナ・アーシャ
(まだ……後、二十...)
腕が震える、床に落ちそうになる体を、歯を食いし
ばって耐える

──腕立て伏せ、五十回
たったそれだけのはずなのに
ロレーナ・アーシャ
こんな簡単に...諦める訳には
どさりと最後の一回を終え、そのまま床に崩れ落ちる

息が荒い、体が重い、けれど──
ロレーナ・アーシャ
...まだよ
震える腕で、ゆっくりと身体を起こす
次は、腹筋百回
ロレーナ・アーシャ
(悪役令嬢たるもの、この程度で音を
上げるわけにはいかない)
ロレーナ・アーシャ
...愚かね
ロレーナ・アーシャ
その程度で満足しているの?
部屋の鏡の前で、ゆっくりと視線を細める
ロレーナ・アーシャ
ふぅ、悪くないわね
腕を組み、小さく頷く
完璧とは言えないけれど、確実に近づいているはず
ロレーナ・レイン
アーシャ?
扉の向こうから声がする
ロレーナ・アーシャ
お兄様?
振り返ると、少しだけ扉が開いていた
そこから覗くのは、年の離れた兄の姿
ロレーナ・レイン
一人で、何してたんだ...?
一瞬、思考が止まる...けれどすぐに、顎を上げ
ロレーナ・アーシャ
お兄様には関係のない話でして?
(完璧な返しね)自画自賛する。しかし
ロレーナ・レイン
...そうか
兄は少しだけ目を細めて、ふっと笑った
ロレーナ・レイン
随分と、努力しているんだな
ロレーナ・レイン
その年でそこまで言葉を選べるのは立派だ
ロレーナ・アーシャ
.....え
これは努力とかそういう話じゃない
ただ、"悪女として当然の振る舞い”を
ロレーナ・レイン
無理はするなよ
そう言い、ぽん、と頭に手を置かれる
ロレーナ・アーシャ
...っ//子供じゃないわ!!
ロレーナ・レイン
はははっ、まだまだ子供だぞ?
ロレーナ・レイン
でも、何かあれば俺を頼るんだぞ
優しい声、温かい手
完全に距離を取るはずだったのに

むしろ、お兄様に舐められてる?
その事実に気づいた瞬間、胸の奥が、ほんの少しだけ
ざわついた

──悪役令嬢としては、失敗
ロレーナ・アーシャ
(これからよ!)
ゆっくりと視線を逸らす

まだ始まったばかりなのだから
ロレーナ・アーシャ
 次は、もっと完璧に決めてみせるわ
そして夜、ベッドの上には本の山
ロレーナ・アーシャ
…植物の分類、魔力との関係…なるほど
ページをめくる手は止まらない
ロレーナ・アーシャ
(知識は必ず武器になるのだから)
毒も、薬も、言葉も──

すべては“使い方次第”で人を制することができる
ロレーナ・アーシャ
世界情勢、各国の関係……
面白いじゃない
疲れているはずなのに、頭は冴えていた
ロレーナ・アーシャ
(これで、また一歩理想に近づくわ!)
そしてまた翌日、翌日と...

筋トレと勉強を繰り返す日々、何度も倒れそうになり
ながらもそれでも、やめることはなかった
ロレーナ・アーシャ
……あと、少し……!
声が掠れる、視界が揺れる

それでも──
ロレーナ・アーシャ
(ここで諦めるなど、ありえない)
──そして、一週間後

何事もなかったかのように、再び彼らの前に立った
ロレーナ・アーシャ
…来ましたわ、お兄様

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