仕事が終わる。
ふぅ、と誰にも聞こえないようにそっとため息をつく。
やっと行ける。
私は急いで帰り支度をし、部長に挨拶をしてから会社を出た。
今日はあやに連絡せずに行ってしまったな。
あや、怒ってないかなと心配になったのもつかの間。
ドアを開けると同時に2人の人が私を待っていた。
こ、こんな席座れない!!
今日いくら持ってきたっけな…
しゆんさんが笑ってそう言う。
───まるで私の心を読んだかのように。
しゆんさんは一瞬悲しそうな目になる。
何があったのだか、触れられそうだけど触れられない。
しゆんさん、みんなと違ってトリコにさせるのではないのでは?
この人だけは違う。
しゆんside
これはあなたと出会うちょっと前のこと。
俺たちはいつも通り活動をしていた。
そうまはみんなを取り巻き、てるとは癒し、まひとはドキッとさせ、ばぁうはトリコにする。
俺はと言うとばぁうとまひとの間だった。
だけどある時───
俺はこのとき内心焦った。
2人とも俺の事煽ってくるんだもん。
俺が危ないことなんて自分がよく知ってる。
なのに、なぜかやる気が出なくなってしまった。
でもそれでも俺が俺じゃなくなってしまう、そんな感じがしたんだ。
まひとは俺と並んだし、今は俺がぎりぎり上にいるぐらい。
もう無理なんだ。
そんなとき、あなたが新しい客としてきた。
これはチャンスなのでは?そう思った。
だけどみんな落とすのが必死なのに対し、あなたは誰にも惚れてない。
まひとやばぁうもつい目で追っている。
俺が混ざってもそこまで変わらない。そう思った。
だから俺は自分のテーブルで燃えていたのだ。
あなたside
しゆんさんからその話を聞いた時、はやりしゆんさんは寂しそうな顔でどこかを見つめていた。
しゆんさんを見捨てられない。
そう心に決めた私はしゆんさんの胸に飛び込んだ。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝☆75、♡230、💬5、+👤185(+14)
長らくお待たせしてすいませんでした…💦
あと吹き出しカラーやアイコンを変更させていただきました。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。