威吹さんとカケラを探し始めて数時間が経過した。電車賃があまりない、と言う理由もあって、歩きで別の区へ移動しているので更に時間がかかっている。
威吹さんの後について行くと、怪しげなお店に着く。辺りを警戒しながら中へ入ると、威吹さんが「お邪魔しまーす」と声を出した。
お店の中は、様々な模様や形のマスクが飾られている。
お店の奥へ進むと、「いらっしゃい」と穏やかな声が聞こえたが、姿を現したのは、刺青を何個か入れているパンクファッションの怖そうな男性。目は赤黒く、喰種と同じ目の色をしているのに気付いた。
ウタさんは僕をまじまじと見ると、「敦くんも異能者?」と聞いてくる。
渋々返事をしながら頷くと、ウタさんに「どんな異能なの?」と更に質問される。
“協力者”とは言っていたが、威吹さんはどうやって知り合ったのだろう。そして、何を基準に協力者を選んでいるのだろう。
それ以前に、ウタさん……喰種なのだろうか?
だとすれば、威吹さんは知ってて協力者にしているのだろうか?
だがそうなると、これは歩いている時に威吹さんが話していた“喰種を庇う”の中に入らないのだろうか?
最後に挨拶だけすると、僕達は外に出る。
威吹さんは近頃消えてる喰種について考え始めた。一方で僕は、何故マスクを作る必要があるのか、お金はどうするのか、喰種に協力して貰ってもし捜査官にバレたら……などなど、気になってしまい、威吹さんに尋ねた。
僕の質問に「平気平気」と、威吹さんは呑気に笑う。
ウタさん以外にどんな協力者がいるかは知らないが、居ないよりかはマシなのかもしれない。そして僕は一つ疑問に思った。異能者だけが“カケラ”になるならば、異能者では無い人は今頃どうなっているのだろう。
僕が首を傾げると、威吹さんは少し考え込んでから「ナオミちゃんに会うついでに、“協力者”も増やしておこうかな」と呟く。
そして、僕を見てニコッと笑った。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。