CCGの建物に着き、情報提供の際に使用するとされる場所まで案内される。
喰種が通れば反応すると言われるゲートを抜け、僕と敦君はソファーに座った。
全員居たら目立つし、立たせる訳には行かないからと、ハイセ君はクインクスメンバーに自分達の仕事に戻るよう指示を出した。
こちらの世界について何も知らない敦君と、僕達について何も知らないハイセ君二人の会話は噛み合っておらず、聞いていて面白い。どちらも困惑しているし……。
心当たりがあるのか、ハイセ君は少し哀しげな目をして視線を下に向けた。
僕は彼の事情を有馬さんから聞いて知っているので、敦君の置かれていた状況と自分を重ねてしまったのだろうと察する。
異能を使って敦君を喋れなくし、何事も無かったかのように僕は話を元に戻した。
敦君は賞金七十億を狙った組織の中に、僕が属しているポートマフィアも居ただろうと言いたかったのだろうが、流石に此処でマフィアだと知られるのはまずい。
異能が存在しない世界でこんなことを堂々言って居る自分を我ながら勇者だと思う。
傍から見たら妄想癖があるのか、漫画や映画の見すぎで二次元との区別が出来ない奴か、厨二病の類だろう。説明してて段々恥ずかしくなってきた。
僕が言うと、ハイセ君は険しい表情を浮かべ、黙って僕の話を聞いた。
敦君にかけた異能を解くのを忘れていたが、気付かなかったフリをして僕は話を進めた。
近くに置いてあったメモ用紙に、自分が常時持ち歩いているペンで電話番号を書いて渡す。
厨二病発言の次は押し売りセールスマンみたいな行為をしてしまったが、ここまで来たらもうヤケクソだ。強引なのは正直僕も好きではないが、許してくれハイセ君。
最後に挨拶をし、敦君を連れて外に出てから異能を解く。敦君はようやく解放されたかのように「ぷはっ!」と息を吐いた。
そんな話をしながら歩き、僕はタケさんにメールで“飯一人前追加頼んでも?”とだけ送って置いた。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!