日曜日 鳥居前__
ドキッ
…近頃の私はおかしい
なんか悟を見てると、傑を見てたときみたいになる
私は石畳を一度振り返り、目を逸らした
傑の面影はすっかりなくなっていて、代わりに悟の右手が差し出された
悟がデートと言って私を連れてきたのは、
___傑の墓だった
どこから出したのか、悟は無表情で傑の墓にジニアとローダンセの花束を手向けた
私は手ぶらで来てしまったので悟と一緒に手を合わせるだけしかできない
…ここで黙られるのが一番怖いよ
そして、悟はゆっくり口を開いた
そういうと悟は悲しそうに透き通る眼を歪めた
ズキッ
最近ずっと気にしないようにしてた
この気持ちは、持っちゃいけないって思ってる
きっと認めてしまったら、
悟も、傑も、私も、辛くなる
デメリットしかないはず
なのに、なんで…
声が、出ないの…
気がついたら、私は高専時代の傑が目の前に立っていた
私も高専時代の制服を着てる
ここは…鳥居の前の石畳だ
夢だと、すぐに分かった
でも、少しだけ、もう少しだけ…ここに浸っていたい
…あぁ、悟が呼んでる
もう終わっちゃうんだ
あぁ、悟…
私の雰囲気が変わったからか、
さっきまで焦っていた悟は改まってまっすぐと私の瞳を見据えた
私は苦しくなりながら、言葉を紡いだ
さっき傑と(夢の中で)会ったときに改めて知った
…まだ傑のことが好きだ
でも、私を呼んでいた悟も愛おしいと思ってしまう
きっと、これは罪だ
そういった直後、私の心は冷たい刃に複数刺されたような錯覚を感じた
一方悟は、いくつもの感情を抱えたような淡い笑みを浮かべていたのに、
私は気が付かなかった___












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!