※ホラー要素、死ネタるぅとくんに密かに恋心を抱いていただけだった私が、最近少し噂になっていたアプリを使ってみた話。
言ってて自分が惨めになる。
昔は仲良かったのに、今じゃもう全く話さなくなっちゃったもんなぁ。
ただの噂でしょ、って思ってたけど。
いや、やっぱり気になるよね。
私は早速家に帰ってそのアプリを探してみると、すぐに見つかった。
どうせ嘘でも、まあ試すだけだし。
私はアプリをインストールしてみた。
まず、好きな人の名前と、住所を入力するらしい。
幼馴染の私は、るぅとくんの苗字はもちろん、住所も分かっていたので入力した。
するといきなり、ミッションが課された。
"二人きりになった時に挨拶をしてみよう!!"
なるほどこの程度ね。
そもそも二人きりになるチャンスなんて無いし、このミッションは達成できないかもなぁ、と思いながらアプリを閉じて、課題を始めることにした。
次の日。偶然登校中、るぅとくんに出くわしたのだった。家が近いからだけど、今まで行く時間が一緒なことなかったのに。
フワッと笑って挨拶を返してくれた。
何年ぶりに話したんだろう。挨拶だけで気持ちが晴れやかになった。
あ、話せてる。
すごい、普通に話せてる。嬉しい。
そのまま一緒に学校に向かって、私は機嫌が良いまま教室に向かった。
すると、昨日アプリのことを教えてくれた友達が項垂れていた。
幼馴染の私だけが知ってる。
私だけが、るぅとくん相手にあのアプリ使えるんだ。
その日から、私は毎日ミッションを次々クリアしていった。
"目が合ったら手を振る"
"一緒に帰ってみる"
"一緒にお昼を食べる"
徐々に難易度が高いミッションになっていったけど、確実に仲良くなれているから、話したり誘ったりするのに、変な抵抗は感じなくなった。
このままいけば本当に、両想いになれちゃうかも。
そうは言っても、るぅとくんの目の下には隈があった。
私はるぅとくんの肩に手を置いた。
よし、今日のミッション、"さり気なくボディタッチしてみる"遂行!
るぅとくんとお昼を食べて、教室に戻った。
次英語の小テストだ、勉強しなきゃ。
自分の席で単語帳を開いて暗記していると、後ろの席の会話が、自然と耳に入ってきた。
何、それ
だから、あんなに顔色が悪かったの?
私は心配で、その日はるぅとくんと一緒に帰ろうと思ったけれど、先に帰ってしまっていた。
そして。
もう、二度とるぅとくんに会うことは出来なかった。
るぅとくんが、自宅で自殺した。
後から詳しく聞いた話だと、るぅとくんはストーカーに加えて、家には脅迫文のような手紙が届くようになっていたらしい。
それに、耐えきれなかったんだ。
もっと、私が気づいてあげられてたら。
時間が開けて、やっと本調子になったところで、友達からある話を聞くことになる。
待って。てことは。
私はあそこにるぅとくんの住所を入力した。
それが流出して、るぅとくんは自殺にまで追い込まれてしまったんじゃ…?
自分がしてしまったことの、重大さに今気がついて、背筋が凍った。
その日私は過呼吸になってしまって、保健室で休むことになった。
そういえば、あのアプリ、るぅとくんがいなくなってから開いてない。
私はアプリを起動した。
次の、ミッションは…
"好きな人に会いに行って告白しよう!!"
私は屋上に向かった。
そして柵に手をかけて、
好きな人に、会いに行った。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!