忙しなく過ごしてきた高校生活も、あと1年を残すだけとなった。進路についても真剣に考えなきゃいけないのに、なんだかやる気が起きない。原因の一つに周りの雰囲気がある。
『進路?とりあえず大学行くでしょ。お前どこいくの?』
『俺はジフナと同じとこがいいなー』
『俺はまだどこ行くか決まってないけど、近くがいいな』
『○○と一緒のとこに行きたい!』
みんな漠然としすぎて、聞いたはいいけど参考になりゃしなくて。参考書をずっと眺める毎日だ。
『おい、どこいくか決まってんの?』
いけない、ウォヌの質問をほったからしてた。んー、進路…。
「…まだ。心理系にいきたいなって思ってるだけ…かな今は。」
『それだと…○○大学とか、△△大学とかか』
曖昧に頷いてその場を流す。大体、齢17,8の少年少女には難しすぎる提案だよね。もう生き方決めなきゃだなんて。遊びたいけど、将来が不安だし、成功する保証なんてないし。
『じゃあ、僕もそこら辺目指そ!』
「うわぁ!急に大声出さないでよー、ジュンくん」
『へへ、ごめんね。○○と同じとこにどうしても行きたいから』
『お前はやりたいこととかないのかよ?』
不思議そうにウォヌが聞く。
『今んとこ○○の傍にいれればいいかな…跡継ぐのめんどいし』
そう、彼がこんなに自由でいられるのは、お坊ちゃまだからなのだ。かなりの大富豪で次期跡取りとして注目されている彼は、時折こんなふうに吐き出す。
『どっかにパーっと遊びに行きたいなー』
「放課後、どっか寄ってく??」
『いーねー!!美味しいの食べに行こ!!』
『おっ…俺も行く!』
勉強なんてそっちのけでその日は暗くなるまで楽しんだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!