第159話

EP. 150
1,338
2025/01/04 11:54 更新







12月31日 23時52分
 
残り10分ほどで色濃い一年が終わろうという時、

俺とあなたは混雑している甲板に出た。




_@_
寒…すぎる…




たとえコートを何枚重ね着したって

冬の海風はそれを突き抜けてくるに違いない。
 
体温の高いあなたを抱き締めて

暖を取るのが精一杯だった。




ゆ、ユンギ様…
冷たい、です
_@_




反対に低体温どころではない俺に抱き締められて、

あなたは離れろと言わんばかりに震えている。
 
…俺はここ最近で初めて

あなたにハグを拒絶されたかもしれない。




_@_
💭 死ぬか…




ちょうど死ぬのには打って付けな

極寒の黒い海が目の前に広がっている。
 
どうせ飛び込んでも意味がないことを知りながら

俺はぼんやりと海原を眺めていた。




…!
見てください、ユンギ様
あんなところに…
_@_




ふとあなたが指差した方向に顔を向けると、


甲板の人混みをスルスルと通り抜ける

一匹の黒猫の姿があった。




_@_
…何だあの猫
_@_
どこから入ったんだ?
誰かの飼い猫、とか…
_@_
全く…連れてくるなら
ケージに入れておけ
野良猫だったら
連れて帰りませんか?ㅎ
_@_
どうやって野良猫が
海上の船に乗るんだよ




かなり昔に気まぐれで

猫か犬かを飼ってみたことがあるが、


あれはダメだ、寿命が短すぎる。
 
こちらが注いだ愛情の割に

呆気なく最期を迎えてしまう。




ただでさえ人間の寿命すら短く感じるのに

動物など以ての外だ。




_@_
飼うなら海亀にしろ
もう少し
小さい方がいいです…




そんなたわいもない会話をしていると

段々と周囲が騒がしくなり始め、


星が散らばる空を見上げれば

年明けを知らせる一発目の花火が上がる。
 
「おぉ…!」という歓声と共に

二発、三発と上がり続け、


あなたも目を輝かせて身を乗り出した。




すごく綺麗…!
_@_
ㅎ そうだな




あなたの大きな碧い瞳に反射する

色とりどりの花火は、


確かに俺が今まで見た中で

一番美しいと言っても過言ではない。
 
豪華な花火に夢中のあなたを撫でながら、

俺はずっと彼女の反応を伺って楽しんでいた。







終盤に差し掛かった黄金色の花火が

海面に散るのを眺めていると、


あなたも同様に夜空を見上げたまま

「ユンギ様」と俺の名を呟いた。




_@_
…ん?
ユンギ様、
連れてきてくださってありがとう ㅎ
こんなに幸せな年越しは…
もしかしたら初めてかもしれないです
_@_
…そうか ㅎ
_@_
お前が喜んでくれれば本望だよ




どこか照れ臭そうに話すのが愛らしくて、

思わず笑みがこぼれる。
 
風になびいた彼女の髪を耳にかけてやると、

あなたは俺の手に頬をすり寄せた。





…ユンギ様と出会えてよかった
これからもずっと…
一緒にいてくださいね ㅎ
_@_
…あぁ ㅎ
もちろん
_@_
一生お前のそばにいるよ、あなた




踵を上げたあなたと唇を重ね合わせた時、

同時に一番大きな最後の花火が打ち上がる。
 
恥じらいにほんのり頬を赤らめているのが

花火の黄金に照らされていた。

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