その日、あっきいくんたちの言う通り、俺は生徒会長に立候補した
やりたくないわけではないけど、やりたいわけでもない
でも俺はみんなの期待を裏切るわけにもいかないから
帰り道
公園のブランコに座って俺はため息をついた
幼い頃から我慢してばかりだった
やりたいゲームとかも親に禁止された
友だちと遊びに行くこともできなかった
親はよくこういった
“_我慢すればいい大人になるよ_”
その言葉を信じて俺は親の言う通りに生きてきた
でも実際のところ、いい大人になるどころか誰かの言う通りの“人形”になっていった
大人にとっていい大人とは誰かに言われるがままの“人形”なのだろうか
俺はまたため息をつく
こんな生活、抜け出したい、そう思って
背後から声がして俺は咄嗟に振り向いた
話を聞いてくれる人がいないからと言って見ず知らずの人に何でも話せるわけがない
そう笑ったそらびびという人の笑顔は俺にとって眩しかった
そして直感で感じた
この人は俺とは正反対の人物なんだって
それから俺はこの人を信用して色んな悩みを聞いてもらった
“期待が重たい”
“生徒会長なんてやりたくない”
“友人関係が辛い”
そらびびさんはうんうん、と頷いて話をしっかり聞いてくれた
“自由”
その言葉は俺の一番の憧れる言葉だった
俺の生活とはかけ離れている言葉
この人は俺とは違う“自由”だから
一目でこの人は俺と“違う世界”を生きているとわかったんだ
その言葉に嫌味が含まれていることは直感でわかった
でも俺は頷いた
俺の言葉にそらびびさんは“おうよ”と笑顔で言った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!