りょうはこちらも向かずにそのまま
部屋に戻って行った。
あんなりょう…初めて見たかも。
少しの間沈黙が続き、最初に口を開いたのは
エイジだった。
わたしはりょうのところへ向かって
歩き出した。
みんなに誤解されたまま過ごすなんて
絶対むり!!!!
ガチャ
ノックもせずにりょうの部屋のドアを開ける。
りょうはこちらに背を向けたまま
イスに座っていた。
すると、りょうはこちらを向いた。
その顔は少し微笑んでいた。
言われた通り、さっきまで座っていた
ベッドに腰かけた。
りょうの表情からは微笑みが消え
まっすぐわたしの目を見つめていた。
そして、またりょうの顔が近付いてきた。
ドサッ
ベッドに押し倒される。
なにこれ…どんな状況!!!?
りょうを見ると
いつもと違う目をしていた。
どんどんりょうの顔が近付いてくる。
チュ
わたし…キスされてる?
ほんとにキス、されちゃった…
りょうの舌がわたしの中に少しずつ
入ってくる。
りょう、苦しいよ…
りょうの身体を思いっきり押しのけた。
するとりょうは、我に返ったかのように
わたしから離れた。
恥ずかしさと驚きで何が起きたのかよく
わからなかった。
気付いたらわたしは部屋を飛び出していた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!