rd視点
人生って、だいたい同じことの繰り返しだと思う。
朝起きて、眠いまま学校に行って、
授業を受けて、友達と話して、
帰ってきてゲームして、寝る。
それをずっと続けていくだけ。
別にそれで困ってるわけじゃない。
むしろ楽だし、変なことが起きない分、気も使わなくていい。
ただ、何も起きない。
恋とか、運命とか。
そういうのはもっとちゃんとしてるやつとか、
特別なやつに起きるものだと思っていた。
少なくとも、俺には関係ない。
その日までは。
六時間目が終わるチャイムが鳴って、教室の空気が一気にゆるくなる。
前の席のやつが椅子を引く音がして、
後ろではもうスマホを触ってるやつもいる。
小さく呟いて、俺は鞄を持って立ち上がる。
今日は特に予定もない。
寄り道する気もないし、そのまま帰るだけだ。
教室を出て、廊下を歩く。
同じように帰るやつらが並んでいて、
みんな同じ方向に流れていく。
階段を降りて、靴箱で上履きを脱いで、
外履きに履き替える。
校門を出ると、もう夕方だった。
空は少し赤くなっていて、
昼よりも風が少しだけ涼しい。
いつも通りの時間。
いつも通りの帰り道。
スマホを見ながら歩いて、
信号で止まって、青になったら渡る。
コンビニの前を通って、
いつも曲がる角を曲がる。
そこまで全部、何も変わらなかった。
角を曲がった先に、誰かが立っていた。
最初はただの人だと思った。
でも、なんとなく違和感があって足が止まる。
その人は動いていない。
周りの人は普通に歩いているのに、
その人だけ時間が止まってるみたいにそこにいる。
もう少し近づいて、顔がはっきり見える距離になる。
そこでやっと気づく。
淡いピンクの短い髪。
白い服。
そして、背中から大きな白い翼が生えている。
思わずその場で止まる。
声が出る。
どう見てもおかしい。
頭の横には白い輪っかが浮いている。
完全に、漫画とかで見る天使の見た目だ。
俺はとっさに周りを見る。
通行人は普通に歩いている。
誰も立ち止まらないし、誰も驚いていない。
つまり、見えてない。
もう一度、その子を見る。
そこにいる。
さっきと同じ場所に、同じ姿で。
夢でも幻覚でもない。
そのとき、翼がゆっくり動いた。
風を押すみたいにふわっと揺れて、
白い羽が一枚落ちる。
それが俺の足元に落ちた。
しゃがんで拾う。
軽くて、柔らかい。
ちゃんと触れる。
本物だ。
頭の中が一気に混乱する。
立ち上がった瞬間、目の前の子がゆっくり目を開けた。
ピンクの目。
そのまま、まっすぐ俺を見る。
周りの誰でもなく、俺だけを見ている。
何も言えなくて、そのまま見返す。
少しだけ静かな時間が流れる。
そのあと、その子は首を少し傾けて笑った。
言葉の意味が理解できない。
キューピット。
専属。
どっちも意味は分かるのに、繋がらない。
とりあえず聞く。
迷いなく答える。
思わず聞き返す。
当たり前みたいに頷く。
意味が分からない。
思わず、一歩下がる。
恋なんてしてない。
好きなやつもいない。
そんな俺にキューピットが来る理由がない。
あなたの名前(カタカナ推奨)は一瞬だけ黙る。
その間が少しおかしい。
考えているというより、
反応が遅れているみたいな感じ。
少し遅れて、そう言う。
そしてまた笑う。
でも、その笑顔はどこかぎこちない。
違和感が残る。
そう言うと、あなたの名前(カタカナ推奨)は少し考えてから頷いた。
そう言って、何もない空間に手を伸ばす。
その瞬間、空気の中に小さな光が集まり始めた。
光はだんだん形になって、
細く伸びて、一本の矢になる。
あなたの名前(カタカナ推奨)はそれを軽く持つ。
思わずそう言う。
でもあなたの名前(カタカナ推奨)は気にせず続ける。
妙に納得できる説明だった。
あなたの名前(カタカナ推奨)はもう一度手を動かす。
今度は矢じゃなくて、本が現れる。
白い表紙の本。
静かで、重たい感じがする。
開かれたページには、文字がびっしり書かれている。
名前や数字、見たことない情報も混ざっている。
ページがめくられる。
その中に、自分の名前があった。
一瞬で頭が真っ白になる。
意味が分からない。
あなたの名前(カタカナ推奨)はそのページをじっと見ていた。
そのとき、また違和感があった。
一瞬だけ、完全に動きが止まる。
時間が止まったみたいに。
声をかける。
少し遅れて、ルミエールが反応する。
そう言って、本を閉じる。
また笑う。
でももう分かる。
この子、どこかおかしい。
このときの俺は、まだ何も知らなかった。
この出会いが、どれだけ異常なのかも。
あなたの名前(カタカナ推奨)が何を隠しているのかも。
そして、この恋が最初から間違っていることも。
この出会いが、俺の普通を壊すことも。
このキューピットが、俺の恋を壊すために来たことも。
その嘘の中で、本当の恋が始まってしまうことも。
これは、恋を作るはずの天使と、
恋を知らない俺の物語。
でもきっと、優しい話なんかじゃない。
運命を壊して、ルールを破って、
それでも手に入れようとした_
”間違った恋の物語だ”
【キューピットの能力】
キューピットは3つの道具を持つ。
①恋の矢
恋のきっかけを引き起こす矢。
撃たれた人に、わずかな恋心を芽生えさせる。
②恋の本
人間の恋の可能性が記録された書。
出会い、確率、未来などがすべて記されている。
③???
恋に関わる“何か”を扱う道具。
詳細は不明。
【絶対ルール】
キューピット三大規則
① 人間に恋をしてはいけない
② 自分に矢を使ってはいけない
③ 運命を書き換えてはいけない
”破った場合、天界追放”
【世界設定】
天界
恋を管理する組織が存在する。
恋愛管理局
キューピットはここに所属している。
人間の恋を観測し、
成功しやすいように手助けするのが役目。
人間の恋は、すべて記録されている。
こんにちは!
新作出すの遅くなってごめんなさい💦
やっっっと投稿できましたよ〜!!🎉✨
プロローグも長くなっちゃいました…!すいません!💦
そして、今回のお話は長編になりそうです!
なので、ゆる〜っと見守ってくれると嬉しいです!
変なところとかあったら教えてください…!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。