2時間後、俺達はようやく頂上へと到着した
展望台のような場所から見渡すと、青空が広がり、海も遠くに見えて綺麗だった
カシャッ
持ってきたデジカメで景色を撮る
写真を撮ることも、最近の趣味になっていた
撮ってきた写真を絵に描くのも、楽しみの1つとなっている
そうやって、こちらを向いてきたヨンボガの笑顔を見てふとある案を思い付いた
俺が提案をすると、彼の顔がぱぁっと花が咲いたように明るくなった
そう言うや否や、ベンチに座って休憩をしているハナの元へと駆け出して行った
反論する余地も与えられず、ヨンボガによって半ば強引に連れられてくるハナ
俺はその一連の様子をカメラで撮った
ヨンボガの明るい笑顔、ハナの嫌々ながらも楽しそうな表情
これは贅沢な願いなのだろうか
少しでもこの思い出が心に残るように、俺は2人の姿を記憶という宝箱に収めるのだった
山を降りて合宿所に帰ってきた頃には、全員が疲れ切っていた
やはり、登りよりも下りる方が大変だと感じた
俺は混雑した広場を離れ、合宿所の裏にある、朝に絵を描いた場所へと移動した
カメラを取り出し、フォルダを開く
そこには、さっきの景色や2人の写真が数十枚出てきた
その中には、俺が知らない内にハナによって撮られた写真が数枚
自撮りをしてみようとして失敗したことがよく分かる
1人で写真を見ながら笑っていると、ヨンボガが隣に座ってきた
ヨンボガは嬉しそうに笑った
傾きゆく太陽に照らされた彼の横顔は、美しく儚いように見えた
カシャッ
絵に描きたい
その思いのあまり、シャッターを切ってしまった
懐からミニスケッチブックを取り出し、今まで自分が描いてきた絵を、ヨンボガに見せた
そう返したものの、俺の中には何か引っかかる感じがあった
思い出した
俺は今世で絵が好きなのは、ただの趣味ではない
前世と繋がりがあったのだ
〜〜前世〜〜
幼い頃から、俺は父の跡を継ぐために朝から晩まで勉強をさせられていた
外に出て遊ぶのなんて、許されることではなかった
季節を感じられるのは、窓の外から見える庭の景色だけだった
そんな時、ヨンボガが家を訪ねてきた
差し出されたのは、1輪の小さくて白い花だった
彼は、街の様子を隅々まで話してくれた
俺はその話に耳を傾け、外の様子を想像した
外に出たら、2人でやりたいことも話した
夢中になっている間に、時間はどんどん過ぎていった
彼が去った部屋には、1輪の花だけが残った
でも、その花は俺の心を安らいでくれた
俺はそう思い、今まで挑戦したことが無かった絵を描くことに挑戦した
俺は、描いた絵を訪ねてきたヨンボガにプレゼントした
彼はとても喜んでくれた
その絵をきっかけに、俺は会うことが出来ない時も、絵葉書のようなものを描いて送るようになったのだ
俺は片付けをし、ヨンボガの背中を追いかけてその場所を後にした
next❧












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。