第9話

今宵夜明けに君に会いたい
12
2025/03/16 02:03 更新
はぁはぁと息が上がり足はもうヘロヘロだった。
宮瀬 千尋
そ、颯太今行くからね
最後にもう一度だけあなたに会いたくてここまで来たんだよ

会ったら何を言おう、

きっと心配されるよね、

「会いたかった」?

「今までありがとう」?

本当に頭の中は伝えたいことで溢れかえっていた。
宮瀬 千尋
きゃ!!
足がもつれて盛大に転んでしまった

足からは血が溢れ出て顔にも擦り傷ができてしまった

頭に悶えながらも私はしっからとした足取りを保って再び走り始めた

やっとのことで颯太の家に着いた時にはもう彗星が落下する10分前だった

インターホンを押すと颯太のお母さんが出てきたがどうやら颯太はいないようだった

宮瀬 千尋
お母さん、そぅ、颯太はどこに?
私がそう尋ねると彼女は1つの写真を渡した

私と颯太が遊んでいる写真、
宮瀬 千尋
ここは、、、
颯太母
颯太はここにいったわよ
お辞儀をしてからまた私は走り出した

写真のこの場所は、、、

間に合うだろうか、

いや間に合わせるんだ!

傷跡が痛くて足取りが重くなる

それでもがむしゃらに無我夢中で走った
宮瀬 千尋
つ、着いた、、、
昔2人でよく遊んだ公園

人があまり来ない場所だったので2人の秘密の公園と呼んでいた
宮瀬 千尋
そ、そぅ、そうた、、、
声が掠れてしまってうまく出ない

時計を見るともう3分を切っていた

慌てて公園の中に入る

私の瞳に涙が溢れた
宮瀬 千尋
颯太
彼はこの公園のある場所が好きだった

街を上から一望できるベンチ

予想が当たり彼はそのベンチに腰掛けていた

月明かりと彗星の輝きで彼の横顔がキラキラと光る

私は目から溢れた涙を拭い彼の横に腰掛けた
如月 颯太
え、千尋?どうしてここに
如月 颯太
それにもうすぐ彗星が
彼は東京に上京したから居るはずないと言う思いとボロボロになった姿を見て苦く心配する思いで混乱しているようだった

でもお構いなしに私は話を進めた
宮瀬 千尋
颯太ずっと会いたかったよ
如月 颯太
俺も千尋に会いたかった
颯太は困惑しつつも話を聞いてくれた
如月 颯太
俺千尋に伝えなくちゃいけない事があった
如月 颯太
ずっと子供の時から伝えなくちゃいけないことだった
如月 颯太
俺千尋のことが
いい終わる前に颯太の口にしーっとするように人差し指を当てた
如月 颯太
千尋?
宮瀬 千尋
そこから先は私に言わせて
如月 颯太
うん









宮瀬 千尋
私は颯太が大好きです
その言葉を聞いた瞬間颯太の目から涙が溢れた

私もやっと、、、

やっと言えたよお爺さん、

如月 颯太
ごめんな
如月 颯太
ごめん
宮瀬 千尋
どうして謝るの?
如月 颯太
もっと早く伝えられてたら俺はお前を、、、
何度も何度も謝る颯太を胸の中で抱きしめた

いいんだよ颯太



出会ってくれて

生まれてきてくれて

私なんかを好きになってくれて

本当にありがとうね颯太

もしもこんな終わり方じゃなければ君ともっと一緒にいられたのかな、

君を手放さずにいられたのかな
多くの想いで私の胸はパンパンになった

でもいいの世界が終わるその瞬間に貴方と居られるんだから

貴方にこの想い伝えられたんだから
宮瀬 千尋
颯太
如月 颯太
ん?
宮瀬 千尋
愛してるよ
如月 颯太
俺もだよ
如月 颯太
千尋のこと心から愛してる
そして私たちは世界が終わるその瞬間まで互いのことを抱きしめて離さなかったのだった
目が覚めるとまたあの世界にいた

全てが業火に焼かれ瓦礫のみが残った世界、

辺りを見回しても颯太の姿はなかった
お爺さん
お久しぶりですお嬢さん
宮瀬 千尋
お久しぶりです
お爺さん
その顔を見る限り貴方の祈願は達成できたようですね
宮瀬 千尋
えぇ、やっとですよ
お爺さん
おや?
お爺さん
その様子だと思い出したようですね
宮瀬 千尋
はい
宮瀬 千尋
私の記憶を消したのはお爺さんですよね?
お爺さん
そうですよ
お爺さん
貴方は何回も何千回も、、、
宮瀬 千尋
何千回も同じ日を繰り返していた
宮瀬 千尋
7月23日を何千回も繰り返してやっと颯太に思いを伝えて死ぬことができたんですよ
宮瀬 千尋
でも私は最初の1回目の記憶しか残ってなかった
宮瀬 千尋
それはお爺さんが消したんですよね
お爺さん
えぇ普通の人間なら気が狂いますからね
お爺さん
でも、
宮瀬 千尋
でも私はもう死んでいる
宮瀬 千尋
いや違うな
宮瀬 千尋
最初の1回目の時
宮瀬 千尋
あの時に私はもう死んだんですよね
お爺さん
あはは
お爺さん
全てお見通しというわけか、
お爺さん
そうですよ
お爺さん
貴方はあの日に死んだんです
お爺さん
そして今ある貴方の魂も肉体も1番初めのあの日からもう死んでいるものなんです
宮瀬 千尋
どうしてそんなことをしたんですか?
お爺さん
貴方が愉快だったからですよ
宮瀬 千尋
え?
お爺さん
今宵終わるこの世界で夜明けが見たい
お爺さん
貴方はそうおっしゃっていました
お爺さん
それが実に愉快だったからですよ
宮瀬 千尋
そうですか
お爺さん
おや?
お爺さん
怒るかと思いましたが
宮瀬 千尋
いえ、逆ですよ感謝してます
お爺さん
何故ですか?
宮瀬 千尋
たとえ私が死人だったとしても
宮瀬 千尋
たとえあの颯太が生きてなかったとしても
宮瀬 千尋
私は彼に思いを伝えられて心から良かったと思うからです
お爺さん
これはこれは
お爺さん
本当に愉快なお嬢さんだこと








お爺さん
貴方を待っていた人がいますよ
お爺さんの視線の先を見つめるとそこには颯太の姿があった
宮瀬 千尋
颯太
如月 颯太
千尋おかえり
宮瀬 千尋
ただいま颯太!
颯太を思い切り抱きしめた

今度は絶対離さないよ

この終末の世界で今宵君に会えてよかった











少年と少女はそう思いながらもう2度と互いの手を離すことはなかった。

完結

プリ小説オーディオドラマ