第38話

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2026/05/03 12:45 更新
遂に大会まで後少し。
体育館の空気もいつのまにか変わっていて
全体がどこか張り詰めてる様な気がした
楓弥
楓弥
…ここもう一回いきます?
俺がそういうと先輩はすぐに音を流してくれる
呼吸もタイミングも動きも全部が揃ってる感じがする
いける…本気でそう思えた
史記
史記
「今の良かった」
踊り終わると先輩はそうやってノートに書いた
やっぱり先輩もいいと思ってくれてたんだ
そう思ったらなんだか嬉しかった
優勝したら伝えるんだ。
あの日の約束が、少しずつ現実味を増していった
楓弥
楓弥
今日後で作戦会議いいですか?
史記
史記
「うん、教室で待ってて」
楓弥
楓弥
はい!じゃああとで
先輩は3年生で受験のことでちょっと抜けなきゃいけないらしく…終わったら作戦会議をする。そう約束して一旦解散した
放課後の教室はシーンとしてる
3年生の教室は残ってる人もちらほらいるけれど
小川先輩の教室は誰も居なかった
楓弥
楓弥
ちょっと早めに着いちゃった…
1人で練習してたけど捗らなくて…少し早いけど教室に着いて先輩の席に腰をかけた
机の上にはノートやプリントが置かれてる
受験勉強頑張ってるんだなぁ…そう思いながら特に気にはせずスマホを取り出そうとした
楓弥
楓弥
ん?
だけど机の中に入ってる一枚の紙が目に入った
丁寧におられてる紙…少しだけ嫌な予感がする
自分には関係ない。見てはいけないものだ。
そう分かっているのに手は止まらなかった
そして開いてしまった、そこに書かれていたのは…
小川先輩の文字。
「好き」とか「ずっと」とか「大切」とか…
そんな言葉が並んでいる
誰かに向けた先輩の気持ち
そして…それが自分に向けられたものじゃないことも
全部わかった
楓弥
楓弥
…っ、
視界が次第にぼやける
楓弥
楓弥
はぁっ、なんでっ
好きな人にも好きな人がいるなんて当たり前だ
だけど受け入れたくなかった
俺は紙を元の形に戻してまた机の中に入れた
何も見なかったみたいに
何も知らなかったみたいに
でも…無理だった
自分じゃない。その事実だけがはっきり残った
楓弥
楓弥
ふぅっ、はぁはぁ
うまく呼吸が出来ずにいると
遠くの方から足音が聞こえた
楓弥
楓弥
やばい、くるっ
俺は今のままじゃ、先輩に会うことはできない
そう思って急いで教室を出た
顔を合わせたら、何か話したら、きっと崩れてしまう
俺は急いでトイレに篭りメッセージをうった
楓弥
楓弥
✉️すみません、体調悪くて帰ります
そう送ると俺は倒れ込んだ
トイレだからとか、汚いとか気にする余裕なんかなくて
ぐちゃぐちゃになった
楓弥
楓弥
…もうやだ、
あんなにうまく言ってて、隣にいるのが当たり前だと思ってて…このまま優勝もして…告白成功しちゃうんじゃないかとまで思っていた

だけど全部勘違いだった
勝手に期待をして勝手に傷ついてるだけだ
それでも…


俺はぐちゃぐちゃのまま足を進めた
足音が聞こえた反対側の階段を俺は降りる
ぶぶっ、
楓弥
楓弥
ん、
ポケットの中で少しだけ携帯が震えた
きっと先輩からの返事だ
わかっていても取り出す気にはなれなかった
俺はそのまま歩き始めた

もう一度顔を合わせたら苦しくなる。
もう前みたいに笑うことはできない。

そうわかっていたから、
申し訳ないけど…
楓弥
楓弥
逃げさせてください

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