しばらくして
私はソファーから立ち上がった
「ちょっと荷物取りに行ってくるね」
そう言うとラウちゃんは
目をキラキラさせて
ラウ「一緒に行く!」
と言った
「ちょっと歩くよ?」
ラウ「いいよ」
気分がルンルンなラウちゃんは
制服を脱いで楽しそうに準備し始めた
ラウ「ふっかさん出かけてくるねぇ」
辰哉「いってらっしゃい」
ふっかに見送られて外に出て
家への道を歩いた
ボロアパートの1番端っこ
そこが私の家
ラウ「想像と違う」
「もっとキラキラしてると思った?」
隣でびっくりしてるラウちゃんに笑いかけ
鍵を開けて中に入る
「1時間で出るよ」
ラウ「えぇ」
残念そうにしてるラウちゃんをソファーに座らせ
私はできるだけ自分の物を袋に詰めた
きっとこれで大丈夫
「よし、行こうか」
そう言って家の鍵を閉めて
ポストの中に入れた
きっとここにはもう戻ってこないから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!