私たちはあの後ほんとに5分後くらいに桐生くんの家を出た。
桐生くんはどこに行くのか聞いても教えてくれず、ただただ
「着いてこい」
とだけ言って無言で歩いて行ってしまったので、黙ってついて行った。
桐生くんはそのままタクシーに乗り込み、行き先の住所の書いた紙を運転手さんに渡すと、その後は私の事なんてお構い無しにスマホをいじり出した。
私もただ黙って乗っている訳にもいかず、スマホをいじることになった。
最近の私はぼーっとすることが多くて、SNSのチェックの時間があまりとれてなかったので、ちょうど良かった。って言えばちょうど良かったのかもしれない。
なんて考えながらスマホをいじっていた。
ーーーーーーーーー
しまった!!
いつの間にか寝ていたらしい。
すごい寝顔をしてたのではと、心配しながらその後の桐生くんの様子を見ていたが、特に何も寝顔については言ってこなかった。
つまり、ものすごくやばかったか、大丈夫だったかの2択ってことだ。
どうか後者でありますように。
やばいやばい。全然気づかなかった。
あぁ〜!もう!
私、考え事しすぎ〜!!
カチャ
桐生くんは急いで私の手から受け取った。
そして、急いでサングラスをかけた。
葉乃子になってから変装とかしなくなったけど、桐生くんは有名だから変装しなきゃダメだよね。
よくよく桐生くんを見てみたら、結構いつもと違うんだ。
全体的に服装は暗いし、髪の毛はボサボサだし、、。
ってか、家にいる時はあんなにキッチリ決めてたのに、着替えるのはやすぎ!
プロってすご、、
ーーーーーーーーー
どこに行くんだろ、、。
そんなの、私の自由にしていいならとっくにしてるよ。
桐生くんが押しかけてきたこともあるくらい、婚約を急かした人なのに、急に何を言うのさ。
その時だった、、。
ガチャ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。