妓夫太郎は二本の鎌をこちらに勢いよく投げてきた。
そう言うと同時に紫苑は後方からの爆発音と煙と共に、二人をほとんど押し出すようにして窓から飛び出した。
鎌は紫苑達の頭上を掠めて楕円を描いて元の場所に戻っていく。
紫苑は地面につく直前に二人を支え無事に着地させた。
男性「は、はい!」
店の外の道で禰󠄀豆子を膝に寝かせていた炭治郎が、突然中から飛び出してきた鎌と紫苑に驚き、声をかけてきた。
道の向こうから、伊之助と善逸が走って追いついてきた。
その時店から、先程よりも大きな爆発音と衝撃、土煙や建物の破片が飛んできた!
咄嗟に三人は地面に這いつくばって身を守る。
一方その頃建物の中では、爆薬を使い建物ごと巻き込んで攻撃した宇髄と、帯でそれを防いだ堕姫と妓夫太郎が再び睨み合っていた。
そう言った妓夫太郎を、宇髄は鼻で笑った。
宇髄は何人かの顔を思い浮かべながら、苦々しい顔をする。
だがそうして話している間にも、宇髄の顔はこめかみからだんだんとただれが拡がっていき、息も荒くなっていく。
それに気づいた妓夫太郎は笑い出す。
そして再び戦闘が再開された。
宇髄は摩擦で爆ぜる爆薬を使って堕姫の頸を切断し、続けて妓夫太郎の頸も狙うが、すんでのところで避けられてしまう。
その時、窓際に伊之助と善逸が到着した。
その後、穴の空いた天井の上から紫苑が飛び降りてきて、続けて炭治郎も到着して刀を構えた。
妓夫太郎は突然現れた四人に驚いていたが、すぐに元の調子に戻って喋り始める。
炭治郎の刀を持つ手が震える。疲労からか、それとも恐れか…
その様子が見えた紫苑は、改めて妓夫太郎と堕姫を注意深く観察する。
紫苑がなんとなくこの謎の真相に気づきかけた時、宇髄がそう叫んだ。
この時炭治郎は、煉獄から感じたのと同じもの─── 熱い心、屈強な精神、強い志、周りを引きつけるカリスマ性 ───を、宇髄からも感じていた。
そして宇髄が言った同時に頸を斬れば倒せるという事実は、紫苑が考えていた一つの仮説と合致していた。
そう言って堕姫は宇髄に向かって勢いよく帯を伸ばす。
その刹那、善逸が雷の呼吸で帯を断ち、そのまま天井を突き抜けて屋根の上へと堕姫もろとも飛び出して行った。
宇髄と炭治郎、紫苑が妓夫太郎と睨み合う一方、善逸は堕姫に、言いたいことがあると言って話し出す。
常とは違った、低く、囁くような声で。
それに対し堕姫は反論する。
この街では女は商品だ、持ち主が好きにしていい…と。
善逸も言い返す。
突如、堕姫の喋り方が変わった。
妓夫太郎と堕姫の声が重なって聞こえる。
堕姫の額が縦に裂け、黄色い瞳が覗く。
同じ時、妓夫太郎の左眼もつむられていた。
彼らが二人で上弦の陸である強みが、表に現れた瞬間だった。




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!