第47話

声が重なる
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2025/09/16 09:15 更新



上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
俺の名はぁ妓夫太郎だからなぁぁ!!

妓夫太郎は二本の鎌をこちらに勢いよく投げてきた。
宇髄天元
宇髄天元
っ!


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
宇髄様!この人達避難させます!!
そう言うと同時に紫苑は後方からの爆発音と煙と共に、二人をほとんど押し出すようにして窓から飛び出した。



鎌は紫苑達の頭上を掠めて楕円を描いて元の場所に戻っていく。



紫苑は地面につく直前に二人を支え無事に着地させた。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(何とか危機一髪…)とにかく遠くに、遊郭の外まで逃げてください。
男性「は、はい!」






竈門炭治郎
竈門炭治郎
紫苑!一体何が起こってるんだ?鬼は倒したはずじゃ…
店の外の道で禰󠄀豆子を膝に寝かせていた炭治郎が、突然中から飛び出してきた鎌と紫苑に驚き、声をかけてきた。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
炭治郎さん!よくぞご無事で…禰󠄀豆子さんはどうしました?

竈門禰󠄀豆子
竈門禰󠄀豆子
スゥ…スゥ…
竈門炭治郎
竈門炭治郎
疲れて眠っちゃっただけだ。無理させたから…
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
そうですか…大事なくてよかった。



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
鬼は…頸を斬った鬼の背中から、もう一体鬼が出てきました。分身なのかどうか分かりませんが、その鬼の方がはるかに強いことは確かです。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
(あれよりさらに強いのか…)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
早く加勢しに行かないと。










嘴平伊之助
嘴平伊之助
ぐわっははあ!!俺が来たぞコラァ!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
道の向こうから、伊之助と善逸が走って追いついてきた。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
ご到着じゃボケェ!頼りにしろ俺を!!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
伊之助!善逸!
我妻善逸
我妻善逸
……
竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸、寝てるのか?
我妻善逸
我妻善逸
(鼻ちょうちんを膨らませる)
嘴平伊之助
嘴平伊之助
おいコラ紫紋!勝手に置いていくんじゃねえ!!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
あっ、すみません先に行ってしまって。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
あと私は紫紋じゃなくて紫苑で…
嘴平伊之助
嘴平伊之助
ウオオオオオ!!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(やる気いっぱいだなあ)
 
竈門炭治郎
竈門炭治郎
三人とも、宇髄さんを加勢してくれ!頼む!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
任せて安心しとけコラァ!大暴れしてやるぜ!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
この俺様、伊之助様が、ド派手にな!!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(もう宇髄様の影響受けてる…)
竈門炭治郎
竈門炭治郎
すまない、俺は禰󠄀豆子を箱に戻してくる。少しの間だけ許してくれ!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
許す!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
もちろんです。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ありがとう!






嘴平伊之助
嘴平伊之助
美苑!鬼の野郎はどこだ?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
紫苑です。鬼と宇髄様はこの建物の二階に。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
なるほどな!さっさと乗り込むぞ!







その時店から、先程よりも大きな爆発音と衝撃、土煙や建物の破片が飛んできた!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
うおっ危ねっ!!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
きゃっ?!


咄嗟に三人は地面に這いつくばって身を守る。


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
既に戦いが激しくなってきたみたいですね…急ぎましょう。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
おうよ!臨むところだぜ!
我妻善逸
我妻善逸
…コクリ






























一方その頃建物の中では、爆薬を使い建物ごと巻き込んで攻撃した宇髄と、帯でそれを防いだ堕姫と妓夫太郎が再び睨み合っていた。



上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
お前は産まれた時から特別なやつだったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ。
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
妬ましいなぁぁ、一刻も早く死んでくれねぇかなぁぁ!





そう言った妓夫太郎を、宇髄は鼻で笑った。

宇髄天元
宇髄天元
才能?ハッ、俺に才能なんてもんがあるように見えるか?
宇髄天元
宇髄天元
俺程度でそう見えるなら、テメェの人生幸せだな。

宇髄天元
宇髄天元
何百年生きてようがこんなところに閉じこもってりゃあ世間知らずでも仕方ねえのか。この国はな、広いんだぜ。すげえ奴らがうようよしてる。
宇髄天元
宇髄天元
得体の知れねえ奴もいる。刀を握って二月で柱になるような奴もいる。
宇髄天元
宇髄天元
柱ほどの実力を認められ、上弦と戦い生きて戻るような奴もいる。
宇髄は何人かの顔を思い浮かべながら、苦々しい顔をする。
宇髄天元
宇髄天元
俺が選ばれてる?ふざけんじゃねえ!俺の手のひらから今までどれだけの命が零れたと思ってんだ。

上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
じゃあどう説明する?俺の血鎌は猛毒があるのに、お前はいつまでたっても死なねえじゃねえか?なあ?
宇髄天元
宇髄天元
俺は忍の家系なんだよ。耐性つけてるから毒は効かねえ。
上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
忍なんて江戸の頃には絶えてるでしょ。嘘ついてんじゃないわよ!
宇髄天元
宇髄天元
嘘じゃねえよ!


だがそうして話している間にも、宇髄の顔はこめかみからだんだんとただれが拡がっていき、息も荒くなっていく。


それに気づいた妓夫太郎は笑い出す。
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
んん〜?……ひひっ!やっぱり毒効いてるじゃねえかじわじわと。効かないなんて虚勢張ってみっともねえなぁ!




宇髄天元
宇髄天元
いーや!ぜんっぜん効いてないね!踊ってやろうか。絶好調で天丼百杯食えるわ!派手にな!
そして再び戦闘が再開された。






宇髄は摩擦で爆ぜる爆薬を使って堕姫の頸を切断し、続けて妓夫太郎の頸も狙うが、すんでのところで避けられてしまう。



上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
お前、もしかして気づいてやがるなぁ?
宇髄天元
宇髄天元
何に?



上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
気づいたところで意味ねえけどなぁ。お前は段々と死んでいくだろうしなぁ。
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
こうしてる今も俺たちはじわじわと勝ってるんだよなぁぁ。















嘴平伊之助
嘴平伊之助
それはどうかな?!
その時、窓際に伊之助と善逸が到着した。

嘴平伊之助
嘴平伊之助
俺様を忘れちゃいけねえぜ!この伊之助様と、その手下がいるんだぜ!
我妻善逸
我妻善逸
zzz…
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
なんだぁ…?こいつら…

その後、穴の空いた天井の上から紫苑が飛び降りてきて、続けて炭治郎も到着して刀を構えた。
宇髄天元
宇髄天元
てめぇら…派手な登場じゃねえか、気に入ったぜ!





妓夫太郎は突然現れた四人に驚いていたが、すぐに元の調子に戻って喋り始める。

上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
下っ端が何人来たところで、幸せな未来なんて待ってねえからなぁ。
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
全員死ぬのにそうやって…瞳をキラキラさすなよなぁ…。





竈門炭治郎
竈門炭治郎
(紫苑が言った通り、鬼が二人になってる。どちらも上弦の陸なのか?分裂している?だとしたら…本体は間違いなくこっちの男だ。匂いが違う。匂いの重みが。喉の奥が麻痺するようだ…。)
炭治郎の刀を持つ手が震える。疲労からか、それとも恐れか…




その様子が見えた紫苑は、改めて妓夫太郎と堕姫を注意深く観察する。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(兄の方の武器は鎌、妹は帯…武器も性別も見た目も大きく異なる。となるとこれは分裂ではなく個々で存在する二体の鬼なのかもしれない。)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(それで上弦の陸の位を共有しているとなると…もしかしたらこの鬼の倒し方は…)








宇髄天元
宇髄天元
勝つぜ!俺たち鬼殺隊は!!

紫苑がなんとなくこの謎の真相に気づきかけた時、宇髄がそう叫んだ。

上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
勝てないわよ!頼みの綱の柱が、毒にやられてちゃあね。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
毒?!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…?!
 
宇髄天元
宇髄天元
余裕で勝つわボケ雑魚がぁ!毒まわってるくらいの足枷あってトントンなんだよ!!
上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
強がってんじゃないわよ!
宇髄天元
宇髄天元
うるっせえ!人間様を舐めんじゃねえ!

宇髄天元
宇髄天元
こいつらは四人とも優秀な俺の継子だ。逃げねえ根性がある。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
うっははは!まあな!




_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
!……………継子。





宇髄天元
宇髄天元
手足がちぎれても食らいつくぜ!そしてテメェらの倒し方はすでに俺が看破した!
 
宇髄天元
宇髄天元
同時に頸を斬ることだ。二人同時にな。そうだろ!



この時炭治郎は、煉獄から感じたのと同じもの─── 熱い心、屈強な精神、強い志、周りを引きつけるカリスマ性 ───を、宇髄からも感じていた。




そして宇髄が言った同時に頸を斬れば倒せるという事実は、紫苑が考えていた一つの仮説と合致していた。


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…やはりそうなんですね。おかしいと思っていました。あなたたちは分裂体と言うには性質が違いすぎている。
宇髄天元
宇髄天元
ああその通りだ。そうでなけりゃそれぞれに能力を分散させて、弱い妹を取り込まない理由がねぇ。
はっはー!!ちょろいぜお前ら!!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
うははは!なるほどな。簡単だぜ!俺たちが勝ったも同然だな!

上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
その簡単なことができねえで鬼狩り達は死んでったからなぁ。柱もなぁ、俺が十五で妹が七、食ってるからなぁぁ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(十五と七…兄の方が二倍以上喰っている。単純に考えれば妹と比べて二倍以上の力を持っていると見ていい。かなり面倒臭い戦いになりそう…)
 


上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
そうよ。夜が明けるまで生きてた奴はいないわ。長い夜はいつも私たちを味方するから。
上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
どいつもこいつも死になさいよ!!
そう言って堕姫は宇髄に向かって勢いよく帯を伸ばす。











その刹那、善逸が雷の呼吸で帯を断ち、そのまま天井を突き抜けて屋根の上へと堕姫もろとも飛び出して行った。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
善逸!
 
嘴平伊之助
嘴平伊之助
蚯蚓女は俺と寝ぼけ丸に任せろ!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
お前らはその蟷螂かまきりを倒せ!わかったな!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
気をつけろ!




宇髄と炭治郎、紫苑が妓夫太郎と睨み合う一方、善逸は堕姫に、言いたいことがあると言って話し出す。
常とは違った、低く、囁くような声で。

我妻善逸
我妻善逸
耳を引っ張って怪我をさせた子に謝れ。
 
上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
…は?

我妻善逸
我妻善逸
たとえ君が稼いだ金で衣食住を与えていたのだとしても、あの子たちは君の所有物じゃない。何をしても許されるわけじゃない。


それに対し堕姫は反論する。

この街では女は商品だ、持ち主が好きにしていい…と。


善逸も言い返す。

我妻善逸
我妻善逸
自分がされて嫌だったことは人にしちゃいけない。






















上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
「「違うなぁそれは。」」






突如、堕姫の喋り方が変わった。



妓夫太郎と堕姫の声が重なって聞こえる。

上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
「「人にされて嫌だったこと、苦しかったこと、人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は、幸せなやつから取り立てねぇと取り返せねぇ。」」
上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
「「それが俺たちの生き方だからなぁ。」」
堕姫の額が縦に裂け、黄色い瞳が覗く。


同じ時、妓夫太郎の左眼もつむられていた。

上弦の陸 堕姫
上弦の陸 堕姫
「「言いがかりをつけてくるやつは、みんな殺してきたんだよなぁ。」」
上弦の陸 妓夫太郎
上弦の陸 妓夫太郎
「「お前らも同じように、喉笛かき切ってやるからなぁぁ!」」




彼らが二人で上弦の陸である強みが、表に現れた瞬間だった。



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