第2話

一話
56
2024/07/13 06:27
2025年7月5日午後4時57分
「誰とも連絡が取れない状況だ…」
「ねぇーー県は大丈夫なの?」
「ラジオすら流れてこないからわからないのよね…もしかしたら首都がだめになったのかしら」
「じゃあーー県は大丈夫じゃないってこと…?ねぇ、そういうことだよね?」
「…一回落ち着いて、大事な友達がいるから心配なのはわかるよ、けどもしかしたらーー県も大丈夫かもしれないでしょ?」
「よし、ラジオがつながったぞ」
「繋がったの?!?今どんな状況なの?」
「静かにして、聞こえないでしょ」
ちょっと、2人とも落ち着いて聞いてよ?
『ーーー県、ーーーー県が大きな被害を受けているとみられーー』
「あら…九州、四国あたりはだめみたいね」
「あれ?でも今回の地震はこっちの方でも強くなかった?」
「そうだよ!!なんでこっちまで強い地震が来てるの?」
「今から説明されるんじゃない?、とりあえず私はーー県について知りたいから黙ってて」
「えー。」
『そして、ーーーー県、ーーー県、ーーーー県の一部の土地での沈降が見られ…あ、緊急で情報が入ってきました。ーー県の情報です』
「…!」
『先ほどから、ーー県の情報が入ってきて居ませんでしたが、今入ってきたようですね、えー、ーー県は…ッ?!、ーー県は…、ーー県は…』
「どうしたの?このラジオの人?」
「ちょっと黙ってて、お願い」
「うん」
『ーー県は…ッ、全土が…沈降し、沈んだようですーー』
「え…??」
「どういうこと?」
「あなたは知らなくていいことよ。それにしても、彩…」
「え?嘘だよね…こんなラジオ嘘だ…そうだよね…変なデマが流れてきちゃってるだけだよね…歌音は生きてるはずだもん…全土が沈むなんてそんな馬鹿げた話嘘だよ…ね…??
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…!!この話は嘘だ…この話は…!!!」
「落ち着いて、彩」
「ねぇ…お父さん、お母さん…この話…嘘だよね?歌音…生きてるよね?」
「ラジオの人の動揺する様子からして多分…本当だ…。」
「私も本当だとは思うけど…歌音ちゃんはわからないわ…」
「歌音…生きててよ…?死なないでよ…??」
「お願いだからーーー生きててよーーー歌音」
…誰かの、そんな声が聞こえた気がした。
けど、私は、もう…。
青海 歌音
ごめんね、彩。

プリ小説オーディオドラマ