あったかい
いい匂い
でも初めての匂い
自分の身体が異常に熱いのは
この人のせいだって思ってた。
推しの安心した顔
あれ、顔近……
なんか、横になってる?私。
え、どゆこと?
状況を確認しようと起き上がろうとすれば、頭にずきん、と痛みが走る。
その途端、ぶるっ、と全身に悪寒が広がった。
ぱたぱたと歩く音が小さくなる。
横になったまま周囲を見れば、自分の普段通りの剣持刀也のアクスタが並んだ棚が目に入る。
自室だ、と理解していても開封したばかりのダンボールが重なるこの部屋に本人が入った。
…やばい
思わず顔を伏せると、ふとさっきほのかに香った優しい匂いが広がる。
少し広がる人の体温。
布団に残った暖かさはきっとあの人。
…え、なんか私変態じゃね?
ガチャ、
わた、
わたしおしに
私推しに看病された、
え?、
どんどん近づくそのご尊顔
どゆこと?供給過多がすぎる。
ひたり、冷たい手が額に触れる。
「熱」
… そっか、私熱出たのか… 。
何馬鹿な事してるんだ、と言いたいけど正直あの雨に打たれてればしょうがないか、と思ってしまう。
… 本当に申し訳ないな、
泊まっていきませんか、とか言って 本人倒れるし 看病してもらうし。
ぽすん、と枕へ頭を戻す 。
… 身体だるい、
瞼も重い 、
… けんもちさん、
冷えぴた 、…持って…
来てくれるのに …
……… ねちゃ、…だ…め、
寝てる …
まぁあんだけ熱出てたら、身体も持たないだろうな…
急に目の前で倒れたのだ 、
驚いて思わず勝手に部屋入ったりしちゃったけど…
大丈夫だろうか、…
ふと周囲を見渡すと、
ここにも僕のグッズは多数並べられていた 。
積み上げられたダンボールは恐らく通販のやつ。
… ファンって、こんな感じなんだろうか。
唸り声を上げて体制を変えた彼女 。
体温が高いからか額には汗が滲んでいた。
持ってきたタオルで優しく拭くと、ふ、と表情が緩んだ気がする。
… 大方この人はきっとガチ恋、とかじゃないんだろう。
僕と何があろうと、「 推し 」だから、で乗り切られる。
嗚呼本当、僕は不自由な所にいるな。
今日はずっと、そう感じる日だった。
新作 📖´-
GTA . stgr 再度どハマりしそうな時期です… 🤦🏻♀️💞













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!