第9話

あふれる想い、屋上で。
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2025/08/07 12:00 更新





放課後。今日は部活もない。



蓮「あ!あなたの下の名前!一緒に帰ろ!」



「あ、蓮くん。いいよ。」

 

?「……あなたの下の名前!!!」



突然、背後から強く名前を呼ばれる。


振り返る間もなく、腕をぐっと引かれた。



「えっ、ちょ、永玖──」



戸惑いながらも、永玖の手に引かれて屋上へ駆け上がる。


人気のない場所でようやく止まった永玖は、息を乱したまま振り向いた。

 

永玖「……なんで、あいつと帰んの?」



「え、?」



永玖「なんで俺と玲がいるのに、他の男子と帰るんだよ」



「それは……玄関で声かけられたから……」



永玖「だからって、ホイホイついてくとか意味わかんねーし。」



「っ……そんなつもりじゃ……」



永玖「最近、あいつと仲良すぎ。俺も玲も……お前のこと見てんのに。気づいてないわけ?」



その言葉に、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。


永玖の視線は、まっすぐ私を射抜いていた。



「……ごめん。そんなつもりじゃ……」



思わず俯いたその瞬間、

 

?「──永玖」



屋上の扉が開く音。


静かな低音の声が響いた。



玲「その辺にしときな」



永玖「……なんだよ、玲」



玲「言い方、キツすぎる。あなたの下の名前が悪いわけじゃない」



玲は私のそばに歩いてきて、


静かに、でも確かに永玖の前に立つ。



永玖「なんだよ、お前だって男と喋ってるこいつにヤキモチ妬いてたじゃねーかよ。」



玲「そりゃ妬くよ。好きだもん。ずっと。」



永玖「…。」



「…れ、い今なんて?」



玲「ん?好きって言ったけどダメだった?」



「玲が誰のこと好きって?」



玲「え、そんなんあなたの下の名前しかいなくない?」



永玖「お前、何サラッと気持ち伝えてんだよ。」



玲「あぁ、ごめん。」



永玖「ふざけんなよ……お前、マジで言ってんの?」



玲「うん、本気。永玖が黙ってるから、代わりに言っただけ。」



「え、ちょ、待って……なんで、なんで急に……」



頭が追いつかない。


さっきまで、ただ一緒に帰ろうとしてただけなのに、


今は永玖と玲、両方から“想い”をぶつけられてる。



永玖「……もう、言っちゃったなら仕方ねぇな」



ぽつりと永玖がつぶやいたかと思えば、


こっちを真っ直ぐに見つめて言った。



永玖「俺だって、お前のこと好きだよ。」



「──えっ?」



永玖「誰と仲良くしてもいい。誰と笑ってても仕方ねぇって思ってたけど…今日のは無理だった。見てらんなかった。」



玲「……」



永玖「俺、ずっとお前のこと、好きだった」



玲は一歩引いた。


でも、顔は笑っていた。どこか切なそうに。



玲「……言えたじゃん、永玖。やっと」



「え、え、ちょっと待って。2人とも、なんでそんな普通に──」



永玖「普通じゃねぇよ、マジで必死だったよ」



玲「でも、今日言わなきゃ……たぶん永玖、後悔すると思ってた」



永玖「……わかってんなら、黙っとけよ」



玲「無理。オレだって、好きなんだから」



屋上に響くのは、風の音と、心臓の音だけ。


私は何も言えないまま、


ただ、二人の“本気の気持ち”に挟まれていた。

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