第8話

心の距離 ②
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2025/07/28 12:00 更新





放課後の教室。


永玖はいつも通り、


窓際の席でイヤホンを片耳に差して、


ノートに何かを書いていた。


ずっと避けられてる気がして。


話しかけるのも怖かったけど、


それでも、理由を知りたくて。


(もう、聞いちゃおう……)


私は深呼吸して、永玖の横まで行く。



「……ねえ、永玖。ちょっと、いい?」



永玖はゆっくり顔を上げた。


でも、その目はなんとなく冷たくて。


前みたいな優しい感じじゃなくて、


少しだけよそよそしい。



永玖「……何。」



その声に、一瞬ひるむ。



「最近……なんか、避けてる?」



「もし、私、何かしたなら…ごめん。」



永玖はちょっとだけ黙ったあと、


ため息をついて、ノートを閉じた。



「……別に。避けてねぇし。」



「でも──」



「お前が気にするほどのことじゃねぇから。」



永玖の言葉は、どこか“壁”みたいで。


それ以上踏み込んだら、何かが壊れそうで。


私はうまく言葉を継げなくなった。



「じゃあ、帰るわ。」



永玖はカバンを手にして、立ち上がる。


すれ違うとき、一瞬だけ私の目を見た気がしたけど、


その表情には、何も映っていなかった。


(……全然、わかんないよ。永玖のこと。)


ぽつんと残された教室に、


私の心の音だけが響いていた。

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