第35話

 🥖×33 
836
2024/12/08 09:00 更新
 あなたの放浪者の名前 side .
 朝日が僕を見る.

 昨日噛み締めた温もり.

 それは手に入れてすぐに奪われてしまった.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ………夜が開けてしまった 
 何故か何をする気力も起きない.

 1人外で座り込む.

 まだ早朝で,

 人々は夢の中.

 やけに静かすぎると感じるのは,

 時間帯が原因なのか,

 彼女が側にいないからなのか.

 どちらにせよ,今日は普段より静かだった.

 まだ…まだ取り戻せる.

 取り戻せるはずなのに……

 心の奥で,それを否定している.

 僕なんかが…

 結局大切な人は…

 失ってしまった…

 今,彼女は生き__
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ……壊されてなんか…無いよね……? 
 彼女を抱きしめた時,

 僕は未来に希望を抱いてしまった.

 期待してしまったんだ,この先の姿を.

 陽の光,月の光を浴び,

 軽口を叩いて一緒にご飯を作って,

 長い時間本を読む君に僕が呆れて,

 街にいた猫に興奮しながら君が近づいて,

 優しい顔で眠ってしまう君の顔を見て,

 君の好奇心に振り回され買い物をして,

 時にはグランドバザールに行って,

 そして僕らはもっと広い世界を巡る.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 寿命がない君と永遠を刻む 
 命あるもの,いつかは滅びる.

 自由に飛び回る鳥も,

 人も,そして神も.

 生命が宿っている限り,死んでゆく.


 命に囚われない僕ら.

 彼女は中のプログラムが壊れない限り,

 彼女は彼女なのだ.

 不意にもう一人じゃないって,

 大丈夫だと思ってしまったんだ.


 ……頼む………お願いだ…………
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 僕を一人にしないで…………… 




 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 貴方が弱音を吐くなんて… 
 何かあったのかしら?
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ……………… 
 背中から聞き慣れた声が聞こえた.

 ……普段なら吐かない弱音.

 普段の僕なら必ずクラクサナリデビに否定,文句,

 そんな言葉を投げつけていただろう.

 だけれど,僕にはそんな気力は無かった.

 否,そんなことはもうどうでもよかった.

 とにかく僕はあなたの下の名前に会いたかった.

 ただそれだけでいい.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ……クラクサナリデビ 
 僕は静かに声を発する.

 僕はクラクサナリデビの方へ顔を向けた.

 彼女は僕の首が破損していることに気付いた.

 ナイフで突き刺された場所だ.
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 ………何があったの? 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 …あなたの下の名前…………あなたの下の名前が……………… 
 言葉にしようとすればするほど,

 現実を突きつけられ目の前が暗くなっていく.

 何故僕はあのとき助けられなかったのだろう.

 いっそのこと本気で殺しにかかっていれば………

 でも…そんなことをしたら,

 あなたの下の名前にショックを与えてしまっていただろう.
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 笠っち,落ち着いて,
 ゆっくり話して頂戴.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ………あなたの下の名前が…連れ去られて,… 
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 …誰に? 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ………アンドロイドらしく言うと…… 
 マスター…
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 それは…作者に回収され,
 お家に帰るから…いいこと__ 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 …瞳を割ったんだ.
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 ……どういうこと? 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 マスターとやら…………
 前からあなたの下の名前を雑に扱っててね… 
 場面を思い出し,

 現状を整理するにつれて心配が増し,

 さらに 怒り が顔を出す.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 あなたの下の名前に手を挙げてることは 
 前からよく聞いていた.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 けれど昨日,あなたの下の名前が抜け出して 
 スメールシティに居るのを見つけた.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 …僕の隣に居て,親しくしていたのが 
 気に入らなかったんだろうね.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 怒り狂って彼女の瞳にめがけて 
 ナイフを突き刺した.
 僕は目の前に落ちていたナイフをじっと見る.

 クラクサナリデビもつられる様にチラリと見たが,

 それ以上見ようとしなかった.

 僕は周りに散らばる彼女の瞳の破片を優しく拾う.
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 貴方のその首は? 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 あなたの下の名前を取り返そうとしたとき, 
 アイツがナイフで首を突き刺した.
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ははッ…僕は何もできないまま
 彼女達が去っていくのを見ていたわけ 
 (なまえ:放浪者の名前) .
 あなたの放浪者の名前 .
 ははッ…あっははは 
 もうどうしようも無くて,

 光の差し込まない瞳で殺意を込めて笑っていた.
 ナヒーダ .
 ナヒーダ .
 ………… 

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