僕は神代類。司君の結婚相手だ。今から、式が始まった。入場などを済ませ、二人の愛を誓う。
僕は司君の細い手を取り、長い指に結婚指輪をはめた。司君も同じように僕の手を取って指輪をはめてくれた。
相変わらず僕達二人は高校生のショーを始めた時から全く変わらない。大人になってからははお互いフェニックスワンダーランドに正社員としてショーキャストとして勤めている。
周りの良き仲間は僕たちを心から祝福してくれるみたいだ。とうとうキスをする時だ。僕は司君の頬に手を添えた。
恥ずかしくて赤面しそうな司君。白いウェディングドレスが似合っている。そして僕は司君の頭に着いたベールを優しくつまみ、そして顔が見えるくらいの高さに上げた。
赤面した司君を見て、僕は一つ言葉を呟く。もちろんのこと司君に聞こえるように。
すると司君はショーの時とは違い、僕だけを見つめて静かに笑った。
ふわりとした笑顔で見つめてくれる。愛おしい僕の愛人に、そっとキスをする。なんだか耳が熱い。きっと僕は照れているのだ。なんだか子恥ずかしい。
一呼吸おいて彼の耳元で囁く。ベールを招待客がいる側に流し、簡易的な二人だけの空間を作った。
わざと名前で呼んでみる。ベールを元に戻してキスする前の体勢に戻ると拍手が起こった。祝福の大きな拍手だ。
そのあと、徐々に招待客が退場していく。僕は司君と控え室にいた。もう控えることはないけれど。僕らは誰もいない人目につかない教会の庭の裏でそっとキスをする。
ゆっくり確かめるように二人で話す。初めて屋上であったとき以上に思い出に残る日になるように。そして僕らは確認したことを口に出す。それも、お互い満面の笑みで。
二人で帰った帰り道。夕焼け空のオレンジ色をしたグラデーションはいつも以上に濃く澄んでいた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。