その日の,帰りの時間。
クラスの担任の先生が黒板の前に立って,私たちを見回した。
はーい!と全員が返事をする。
もう一度,はーいと返事をしてから,みんなは帰り支度を始めた。プリントをたたんでランドセルにしまいながら,
私が聞くと,高尾は首を横に振った。
勢い良く答えたら,高尾が目を丸くした。
あれ?そう言えば家の話,高尾としたことなかったかも・・・・・・。
高尾は楽しそうに私の話を聞いてくれている。
それは楽しみだね,と高尾が笑う。それで私もふと,いいことを思いついた。
すると,高尾がちょっとびっくりしたような顔をした。
一生懸命説明すると,高尾は何故か一瞬,何かを考えるような表情をしてから,
にっこりと,いつもの優しい笑顔を見せてくれた。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!