第10話

『2回目の青春』
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2022/03/13 13:46
ジノ
ジノ
あれ?あなた?

名前を呼ばれた瞬間、一気に高校時代に引き戻されたような気がした。



今日は高校二年生のメンバーとの同窓会。
みんな仕事が忙しかったりしたのもあって、同窓会でみんなが会うのは10年ぶり。

兵役義務で来れなかった人も何人かいる中、私に声をかけてくれたのは、
あなた
ジノくん、?
ジノ
ジノ
やっぱりあなただ!久しぶり!

私が好きだったジノくん。

ジノくんとは2年生の時だけしかクラスは一緒にならなかったけれど、委員会が一緒でよく話した。

優しくて、可愛くて、だけどすごく頼りになるジノくんに恋をするのも時間の問題で

だけどその想いは伝えることなく、卒業。

密かに、今でもジノくん以上に素敵な男性はいないと思う。
あなた
わぁ久しぶりだね!なんか、変わらないねㅎ 
ジノ
ジノ
それって身長のこと?ㅎㅎ 

ずっとかっこいいってことだよ、その言葉は飲み込んだ。


それからもジノくんと思い出話やら現在のことを話したり、ジノくんに誘われるがまま二次会にもちゃっかり参加して、あっと言う間にお開きの時間。
ジノ
ジノ
あなた、帰る方向どっち?
あなた
え?えっと、駅とは反対の方だよ?
ジノ
ジノ
お、ほんとに?じゃあ途中まで送るよ。

予想してなかった言葉にぽかんとする私をよそに、みんなに『またね〜』と手を振るジノくん。
ジノ
ジノ
どしたの?ㅋㅋ 行こーよ。
あなた
あ、う、うん。ありがとう。



帰り道は、お互い黙ったまま漢江ハンガン沿いを歩いた。
何を話せばいいのか分からなくて、2人の周りだけ時の流れが遅くなったような感覚。
ジノ
ジノ
あなたはさ、彼氏とかいるの?
あなた
うえっ!?な、何よ急に、
ジノ
ジノ
ㅋㅋㅋ いや気になるじゃん。
あなた
い、いないよぉ〜ㅋ 元々モテるような人間じゃないしㅋㅋ 
あなた
そっちは?

あぁ、聞いてしまった。
無自覚だったけど、自分が1番この話題を避けてきていたことに今気づいた。
ジノ
ジノ
僕もいないよㅋㅋ 
てかあなたって絶対モテるでしょ?
あなた
なんでよ!ㅋ 会社にもっと可愛い子いるからね?
ジノ
ジノ
えぇ〜、高校の時はずっとあなたのこと見てたのになぁ〜
あなた
え、?

思わず振り向くと、意外と近くにあったジノくんの綺麗な顔に目が離せなくなって、
ジノ
ジノ
ほんと、鈍感なの昔から変わらないねㅎㅎ 

ふわふわと笑って、またちょっと近づくジノくん。
あなた
ジ、ジノくん、それって、
ジノ
ジノ
ずっと好きだよ、今でもあなたより素敵な人なんていないと思ってる。

いつの間にか両手は握られてて、
もう2人の周りの世界は止まっていた。
ジノ
ジノ
嫌がらないってことは、そーゆーことでいい?



2人の真っ直ぐな視線は絡み合って、
私が頷いて、貴方はまた微笑む。

優しく触れた唇は、少し甘いお酒の味。
それはきっと、私たちの2回目の青春が始まった味。

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