甘い花のような匂いがした途端、僕は意識を手放した。
あれ、寝てた、?
まだ眠たい瞼に脳が起きろと命令する。
反射的にあくびをし、僕は重い瞼を開けた。
ぼやっとする視界に映る白い天井。
少し首を傾け、あたりを見渡す。
あれ、?僕の部屋ってこんな感じだっけ?
ガチャンッ
重い体を起こそうとしたら頭上で鳴る金属同士がぶつかりあう音。
浮いた体はすぐにベッドに引き戻された。
両腕を縛られていると理解した途端、恐怖が僕を埋め尽くす。
冷静にさせられた頭でもう一度あたりを見渡して見ると明らかに僕の部屋ではなかった。
まぁ、手錠着けられてる時点でおかしいけど。
僕の記憶力を頼りに眠る前のことを思い出す。
仕事終わって、帰ってて、…。
そしたら、急に布で僕の口元を覆われて、甘い花のような香りがして…。
それで眠くなっちゃって…。
もしかして、ゆ、誘拐?
それともただ助けられただけ?
ぐるぐる考えてたらドアが開かれ可愛らしい人が入ってきた。
は?え?どういうこと?
わかっているだろう口調で言われても僕には今のこの状況が全く持って理解できない。
なんで僕は縛られてるの?
なんでこの人は外してくれないの?
わからないことばかりで疑問が僕の頭を埋め尽くす。
そう話しながら一歩一歩僕に近づいてくる。
怖かったのだろうか。
僕には今のこの光景がスローモーションにしか見えなかった。
細くて長いジミンさんの人差し指が僕の顎につく。
立っているからか見上げる位置にあるこの人の目と無理矢理合わせるかのように
クイッと僕の顔は上に向けられた。
僕がしつこく外せと言うからか、ちょっと不機嫌そうな態度で被せ気味に言ってくる。
それに腹が立ち言い返そうかと思ったが、
この人が話した内容が僕を恐怖で支配するようなもので
言葉を飲み込むことしか出来なかった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。